関数の解析性の応用についての総合的な研究
【研究分野】基礎解析学
【研究キーワード】
解析性 / 逆問題 / 再生核 / 積分変換 / 微分方程式 / 数値解析 / リーセン面 / クライン群 / リーマン面 / フライン群 / 解析関数 / 等角写像 / ポテンシャル / 値分布理論 / 偏微分方程式
【研究成果の概要】
(1) 複素数値をとる「任意の関数を係数とする線形微分方程式」の解の存在を論じる方法,存在するときは,解を構成する方法を発見した.しかし,この新しい方法についてはまだ,成果が具体的ではなくさらなる検討が必要である.しかしながら,発想が新規で自然,面白いので,今後検討を続けていきたい.
(2) 時間に依存する多くの線形偏微分方程式の解において,時間と空間の局所的な情報から,初期値や初速度を求める方法を発見した.従って,解の全体の情報はそれらの局所的な情報で求められることになる.楕円型方程式の解についても同様な公式を確立した.これは研究課題に直接関係する「関数の解析性」と「逆問題」,および「偏微分方程式の解」を結び付ける具体的な成果である.この楽しい原理を「聴診器の原理」と名付けた.
(3) 抽象的なHilbert空間達に,線形変換を通して,和,積,微分,積分等の演算を導入する概念を得,特に「convolution」の一般的な概念を得て,「Youngの不等式」より簡潔な不等式を確立した.
(4) 等角写像,関数論の面では,解析関数の表現について,局所的な情報で解析的な任意の点での値を求める自然な公式を,Riemannの写像関数を用いて,森正武教授とともに確立した.さらに,天野一男氏達と,これらの表現における「収束の速さを評価する」新しい原理を得た.
(5) Laplace変換のreal inversion formulasの研究を続け,共同研究者達と「一様収束する公式を得るために,Sobolev spacesのLaplace変換のreal inversion formulasの公式」を,「real inversion formulasにおける誤差評価の公式」を,さらに「conditional stability」が成り立つ関数空間の特定」を確立した.
【研究代表者】