クライン群の変形理論
【研究分野】解析学
【研究キーワード】
クライン群 / フックス群 / ハウスドルフ次元 / タイヒミュラー空間 / 擬等角写像 / 変形 / フラクタル集合 / 力学系 / 複素力学系 / 2重層ポランシャル / ホロノミー写像 / wandering domain / フラクタル / 2重層ポテンシャル
【研究成果の概要】
松崎は、クライン群による点の軌道の集積集合である極限集合(フラクタル集合)のハウスドルフ次元の評価を双曲多様体の幾何学的定数を用いて行い、n次元双曲的離散群の極限集合のハウスドルフ次元がnより小さいための条件を、対応する双曲多様体の幾何学的性質で記述した。さらにクライン群を変形させたときのハウスドルフ次元の連続性について考察した。また、パラメーター空間のなかで離散表現の集合の構造を解析したが、そのうちもっとも典型的な擬フックス群空間を考える際、リーマン面上の斜影構造の空間からのホロノミー写像を使ってその形状を調べる方法を提案した。さらに、クライン群に代数的に微少変形を与えたときの群としての構造の安定性に関する結果と、擬等角変形空間のなかの代数的位相とタイヒミュラー位相の同値性に関する結果を示した。
谷口は、整函数の力学系の変形理論を、タイヒミュラー空間論の立場から構築した。また、有理函数では現れない、wandering domainsやBaker domainsの基本的性質を、このような視点から明らかにした。また具体的な力学系の考察として,象眼指数函数族を集中的に調べ、その位相的完全性を示すことに成功し、さらにその対数的持ち上げの分岐を考察してそのファトウ成分のタイヒミュラー空間を明らかにした。
渡辺は、フラクタルな境界を持つ領域で、Direclet問題に関連した作用素KのBesov空間上の有界性について考察し、全空間上のリプシッツ関数に対しては、境界上のBesovノルムを、その関数の偏微分と境界からの距離の適当なべき乗の内部または外部の積分で評価できることを示し、Hormander型の極大関数の理論を使うことにより、境界がフラクタルな場合にも作用素KがあるBesov空間\で有界であることを証明した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1997 - 1998
【配分額】2,300千円 (直接経費: 2,300千円)