確率解析の総合的かつ統合的研究
【研究分野】基礎解析学
【研究キーワード】
確率解析 / 経路積分 / ブラウン運動 / 確率振動積分 / 熱核 / 漸近挙動 / ランダムウォーク / シュレディンガー作用素 / ウィナー汎関数 / ランダム場 / スペクトル / ウィシャート過程 / ブラウニアンミアンダー / ダイの定理 / 経路空間 / 確率微分方程式 / ディリクレ形式 / 跡公式
【研究成果の概要】
(1)経路空間上のフーリエ・ラプラス型変換である確率振動積分の厳密表現の研究,漸近挙動の研究,非線型偏微分方程式への応用の研究を行った.2次ウィナー汎関数を相関数とする場合に,付随するヒルベルト・シュミット作用素を用いてレヴィ・伊藤型の指数関数表示を与え,確率振動積分の具体的な指数減衰評価を得た.また相関数が多項式係数確率経路積分の場合にも具体的な指数減衰評価を確立した.ガウス型振幅関数を持つ確率振動積分に対し指数減衰主要部の停留点への集中を証明し,経路空間上での停留位相法確立への可能性を見いだした.さらにKdV階層タウ関数のオレンシュタイン・ウーレンベック過程から定まる確率振動積分による確率解析的表示を発見し,タウ関数と確率過程の間の全単射関係を証明し,確率解析の非線型方程式理論への新しい応用を見いだした.(2)具体的な経路空間上の汎関数に関し詳細な研究を行った.数理ファイナンス,ランダム媒質中の拡散過程,双曲空間上のブラウン運動などの研究への確率解析の応用において重要な役割を果たす幾何ブラウン運動の時間積分として定まる指数型汎関数について,その分布を決定し,密度関数の漸化式を確立した.また,正値対称行列値過程であるウィシャート過程の確率法則の絶対連続性,それに関わるいくつかの等式を証明し,双曲型平面上のブラウン運動を用いて微分形式に作用するラプラシアンに対するセルバーグ跡公式の確率解析的証明を与えた、さらにp進上半平面での跡公式に対する準安定過程を用いた確率解析的考察を行った.(3)一般の空間での熱核がガウス型評価をもつための判定のしやすい十分条件を与え,複雑な系の上に拡散過程を構成し,さらに熱核の詳細な評価式を得た.
【研究代表者】