局所及び多様体上のマルチンゲールの大域的性質の研究
【研究分野】基礎解析学
【研究キーワード】
Brownian Motion / local martingale / P-martingale / S-subharmonic function / Liouville theorem / minimal surface / Nevanlinna theory / subharmonic function / Brownian motion / δ-sabharmonic function / Lienville theorem / マルチンゲール / ブラウン運動 / 劣調和関数 / ネヴァンリンナ理論 / リュービル型定理 / 調和写像
【研究成果の概要】
厚地は次のような大きく分けて3つの成果を得た。
1.必ずしもプロパーにはめ込まれていない有限型極小曲面に対して、射影体積が有限ならば、全曲率が有限になることを示した。この結果においては、極小曲面上のブラウン運動が、はめ込まれた空間でマルチンゲールになっていることが使われる。また、1次元局所マルチンゲールの性質を利用して得られるδ-劣調和関数の対数微分の補題が有効に使われている。
2.多様体の放物性(多様体上の標準的な拡散過程の再帰性)をδ-劣調和関数を用いて特徴付けた。この特徴づけを用いて、放物的多様体からカルタン-アダマール多様体へのエネルギー有限な細調和写像のLiouville型定理を導いた。ここには、1次元局所マルチンゲールの性質とブラウン運動の調和写像による像として得られる多様体上のマルチンゲールの性質が使われている。
3.部分多様体上のブラウン運動の性質を調べることにより、C^n内の複素部分多様体上の有理型関数に対するネヴァンリンナ理論の第2主定理を与えた。
小谷は、局所マルチンゲールの基本的な結果として、1次元拡散過程がマルチンゲールになる必要十分条件を求めた。
竹腰は、完備リーマン多様体上の非定数劣調和関数のL^p-積分の発散条件をその関数の測地球上のL^p-積分の発散条件に置き換えて研究し、その応用として完備リーマン多様体の放物性に関する判定条件、調和写像に関するLiouville型定理、非正なスカラー曲率をもつ完備計量の共形変換の等長性に関する結果を計量のリッチ曲率の条件に依存しない形で導いた。また完備リーマン多様体間のp-調和写像のL^p-エネルギー積分の評価についても以前の結果を精密化した。
鈴木は、ランダム媒質の中の拡散過程、特に片側Brownポテンシャルをもつ拡散過程の長時間後の漸近挙動について考察を行った。
【研究代表者】