無限次元解析の諸問題と確率解析の研究
【研究キーワード】
確率解析 / ラフパス / 確率微分方程式 / 無限次元空間 / 近似誤差 / マリアバン解析 / 多次元ヤング積分
【研究成果の概要】
(1) ラフパスで駆動される微分方程式(RDE)の場合も確率微分方程式の場合と同様に時間区間を短時間で区切って近似解を構成する方法がある.オイラー近似, ミルシュタイン近似, クランク・ニコルソン近似などである.これらの近似解と解との差(誤差)の分布の漸近挙動を決定するための研究を行った. 特に(実装可能な)ミルシュタイン近似解とクランクニコルソン近似解を主に考えた.基本的な考え方として, 解の従う方程式と近似解の従う方程式を一つのパラメータで補間する方程式の族を導入し,その補間方程式の解(補間近似過程)およびその解のパラメータに関する微分過程が近似解や解と同様によい性質を持つ(離散的な意味で考える必要があるがいわゆる被制御パスの性質を持つと言うこと)ことをこれまで示して来た.さらに, 小さなオーダーの離散過程の概念を導入し, 補間近似過程の関数と真の解過程の関数の差を小さなオーダーの離散過程とRDEの解の積の和で近似的に展開する式を与えた.
(2)今年度は, 補間近似過程の関数と真の解過程の関数の差の小さなオーダーの離散過程を用いた近似展開式がよい可積分性を持つ空間で成立することを示した.また, 誤差過程の極限の同定に必要な,重みつきエルミート過程のモーメント評価をマリアバンの部分積分の公式と多次元ヤング積分の評価を用いて与えた.
現在は, これらの結果とすでに得ていた評価を組み合わせて,誤差過程の極限を与える論文をまとめているところである.
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2024-03-31
【配分額】7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)