火山災害に対する防災意識の社会構造的要因に関する研究-誰と誰に何を伝えるか-
【研究分野】自然災害科学
【研究キーワード】
防災意識 / 火山災害 / 資源動員論 / 住民意識調査 / 事前対策 / 社会構造 / ハザード・マップ / コミュニティ / 北海道駒ヶ丘
【研究成果の概要】
北海道駒ケ岳ならびに樽前山は、日本の活火山の中でも最も活動的な火山であるが、噴火の規模や推移は多様であり、迅速な避難が必要であることから、防災意識の涵養が求められる。そこで、住民意識調査と地域リーダーへの面接調査を実施した。
駒ヶ岳調査は、駒ヶ岳周辺4町の住民から郵送法で439票(回収率=43%)の回答を、樽前山調査は、苫小牧市内危険の高い地区と低い地区2地区の住民から211票(回収率=42%)の回答を得た。地域リーダーへの面接調査は、12人を対象とした。
主な知見を示すと以下の通りである。
1.この15年間で防災意識も防災情報行動も向上している。
2.駒ヶ岳小噴火ならびに2000年有珠山噴火への関心は高く、大半の人が周囲の人と話題にしているが、職場や同業者で話題になる率が高い。
3.防災教育上の課題として、避難の判断を行政に依存していると思われる点、前回の噴火パターンへの拘泥や誤った周期説が流布してしまっている点等が見いだされた。
4.防災情報行動にとって重要なのは、単に危険性を認知させたり、不安を高めるだけではなく、関心を高めることが必要である。
5.防災情報行動は、噴火への関心の程度といった個人変数だけではなく、地域要因も関係していることを示している。
6.地域凝集性の高い地区では、資源動員論でいうフレーム増幅戦略が、未形成な地域では、フレーム拡張戦略が採用されている。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
宇井 忠英 | 環境防災総合政策研究機構 | 専務理事 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2002 - 2004
【配分額】3,100千円 (直接経費: 3,100千円)