新規な還元力供給システムを利用した二酸化炭素からの生分解性プラスチック合成
【研究キーワード】
化学合成独立栄養細菌 / 生分解性プラスチック / 還元力供給システム / ギ酸デヒドロゲナーゼ / 亜リン酸デヒドロゲナーゼ / 二酸化炭素資源化
【研究成果の概要】
本申請課題では、新規な還元力供給システムを構築し、水素ガスによる爆発の危険性を完全に解除した独立栄養培養系の構築を試みる。また、生分解性プラスチックであるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)を細胞内に合成、蓄積する化学合成独立栄養細菌Ralstonia eutrophaを使用することで、二酸化炭素からのPHA生産手法の創生を目指す。
本年度は、(1)水素ガス以外の物質から還元力を供給するために、亜リン酸デヒドロゲナーゼの異種発現系の構築および(2)爆発下限界の水素ガスを用いた培養系の構築を行った。
(1)亜リン酸を酸化する際に還元力を獲得する酵素である亜リン酸デヒドロゲナーゼの遺伝子をクローニングして発現ベクターを構築し、R. eutrophaへと形質転換した遺伝子組換え株を取得した。構築した組換え株における亜リン酸デヒドロゲナーゼの酵素活性および培養液中の亜リン酸消費が確認され、R. eutropha細胞内における亜リン酸デヒドロゲナーゼの異種発現および亜リン酸を用いた還元力供給に成功した。次いで、組換え株を水素ガスを用いずに独立栄養条件下で培養を試みた。水素ガスを使用しない条件では、菌体増殖は確認できず、還元力供給が不足していること、あるいは独立栄養条件での増殖に必要な酵素群の発現が十分ではない可能性が考えられる。このため、還元力供給および独立栄養系の酵素発現を補うために、(2)爆発下限界の濃度で水素ガスを供給する培養系を構築した。これにより、良好な菌体増殖を達成し、細胞内に60wt%以上のPHAを蓄積させることに成功した。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2021-04-01 - 2026-03-31
【配分額】4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)