利害調整と合意形成をめぐる神経基盤:社会科学の知見と方法の融合
【研究キーワード】
脳 / 社会的行動 / 合理性 / プロスペクト理論 / 合意形成 / 動的因果モデル / 機能的磁気画像共鳴法 / 認知神経科学 / 社会的決定 / 利害対立
【研究成果の概要】
COVID19の感染拡大で、実験が困難である状況が続く中で、昨年度に引き続き、脳の賦活部位間の機能連結を推定する手法である動的因果モデル(Dynamic Causal Modeling)を用いる分析手法の洗練化を行った。プロスペクト理論を用いた実験の画像データの解析に、動的因果モデル(DCM)を用いて、昨年度は、獲得フレーミング下と損失フレーミング下の決定における、脳の賦活部位の機能連結の比較という、基本的解析を行ったが、今年度は、それをさらに発展させたのである。具体的には、事前に行った質問票のデータを用いて、クラスター分析を行い、リスクに対する態度に焦点を合わせ、参加者を二つの集団に分けた。その結果、フレーミングにより、リスクへの対応を変化させる集団とそうでない集団に分かれること、さらに、二集団間で、動的因果モデル(DCM)による分析を行ったところ、機能連結が異なることがわかった。これは、脳機能計測と直接関わらない行動指標と、脳の賦活部位の機能連結が対応することを示唆するものであり、動的因果モデル(DCM)の新たな可能性を示すものである。この結果、プロスペクト理論実験も、学術誌に投稿できる準備ができた。この間、日本神経科学大会、公共選択学会でも、発表も行った。
このプロジェクトの主幹である、合意形成の神経基盤を解明するMRI実験においては、感染状況を見ながら、実験室における行動実験を主に進め、行動分析を行った。行動実験とfMRI(functional Magnetic Resonance Imaging:機能的磁気画像共鳴法)実験を、来年度に組み合わせて行う準備を進めた。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2020-07-30 - 2023-03-31
【配分額】6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)