環境再生デザインの公共社会学:修復的環境正義の実践的理論構築に関する研究
【研究キーワード】
開発・公害跡地 / 環境再生 / 環境ガバナンス / 人新世 / 修復的環境正義 / 地域再生 / 排除と包摂 / 白紙の未来形式 / 社会実験 / 環境正義 / 公害 / 修復的正義 / 再生 / 社会的包摂 / 環境ジェントリフィケーション / 環境再生・地域再生 / 構造的不正義 / 責任の分有
【研究成果の概要】
本年度は、年度の後半(9月)から予定していた研究途中経過の発表については、香港暴動およびコロナの広がりによる国際学会と国際研究会の延期によって困難になった。そのため、予定されていた研究途中経過での理論的な検討や、事例の比較検討については。各個人研究を進め、適宜研究グループ内での議論をテレビ会議システムなどを用いながら行うこととした。予定されていた国際会議については、延期開催や別の国際会議へ対応するため、科研の繰り越しを早めに決断した。
各分野ごとの研究は以下の通り進捗した。
1)被災や公害・開発後の環境再生の過程について、歴史的にどのような排除・包摂や被害と格差の再生産の機制がなされてきたのかについては、主に①公害史における法制度からの検討、②開発と再生の論理の結合の2点から明らかにした。環境のポテンシャルが減少することによって、いかに地域社会の脆弱性とリスクが高まるか、その評価自体についても、②が困難にしていることも明らかになった。
2)こうした機制の再生産のメカニズムを、社会的想像力の再生産メカニズムとの連関で分析し、「白紙の未来形式」と環境言説の結合した社会的想像力の所在について、その1980年代以降の変化を含めて明らかにした。同時に、いわゆるエコロジー思想や有機農業運動にみられる、対抗的・社会的想像力の系譜をあわせて検討する重要性が浮上した。
3)社会実験の事例蓄積とその分析をすすめ、環境正義については、事業の段階とPCDAサイクル都連労する形で、多様な種類の正義が、段階によって異なる重要度をもって現場に現れることが明らかになった。社会の構造的不正義(ジェンダーやウェルビーイングに関わる)社会的公正に広げながら、環境正義の「見取り図」を刷新する必要性も明らかになった。次年度につながる重要な研究成果となったと考える。
【研究代表者】