樹木バイオマス相対成長式の統合と生態系純生産量の試算
【研究分野】林学・森林工学
【研究キーワード】
NEP / NPP / 土壌呼吸 / 炭素固定 / 相対成長関係 / バイオマス / 落葉広葉樹林 / 季節性
【研究成果の概要】
本研究では、季節変化や空間変動を考慮した地下部バイオマスの推定と生態系純生産量の年次変動を明らかにすることを目的とした。岐阜県高山市荘川町六厩の地下部細根量を把握するため、5m×5mの調査地に、30cm間隔の格子をとり、2週間毎にランダム地点20箇所で、土壌コアにより細根と土壌を採取した。2mm以下の根を細根とした。研究室に土壌コアの内容物を持ち帰り、肉眼で生根と死根を選別し、それらの乾燥重量を測定した。
細根の生産量と枯死量を求める方法(Fairley & Alexander 1985)によると、4月23日〜6月15日の期間、生産量=0.22t/ha・10cm/53days、枯死量=0.62t/ha・10cm/53days、6月15日〜8月4日の期間、生産量=0.75t/ha・10cm/50days、枯死量=0.17t/ha・10cm/50daysであった。この103日間の細根にまわる純生産量は、NPP=0.97t/ha・10cm/103daysであった。
以上の研究期間のデータより、一次純生産量NPPを最終的に推定した。2000年から2004年の5年間の平均値で、この110年生落葉広葉樹二次林では、地上部についてNPP=9.96t/ha/yr、これに地下部細根のNPP=0.97t/ha/yrを加えて、NPP=10.93t/ha/yrを得た。一方、生態系純生産量NEPは、一次純生産量NPPから異化呼吸量HRを差し引いた値として求めた。異化呼吸量を土壌呼吸量の50%(小泉,2001)と仮定し、樹体やリターに含まれる炭素含有率を50%と仮定して求めた。すなわち、NEP=NPP-HR=4.98-3.71=1.27tC/ha/yrを得た。調査期間5年間を平均すると、この森林は年間あたり1.27トンの炭素を吸収しているという目下の結論を得た。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
小泉 博 | 岐阜大学 | 流域圏科学研究センター | 教授 | (Kakenデータベース) |
加藤 正吾 | 岐阜大学 | 応用生物科学部 | 助手 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2003 - 2005
【配分額】3,300千円 (直接経費: 3,300千円)