一万気圧内熱式ガス圧装置の開発
【研究分野】岩石・鉱物・鉱床学
【研究キーワード】
ガス圧装置 / 内熱式 / 高圧力 / 化学反応 / 地球科学 / マグマ / 火山 / 揮発成分 / 高圧ガス / HIP装置 / 内熱式高圧装置 / 地殻 / 不活性ガス / 高圧装置 / 高圧ガス装置 / HIP / 岩石学 / 材料科学
【研究成果の概要】
日本列島を特徴付ける様々な地質現象(例えば火山活動、断層や摺曲の形成、変成作用、鉱床の生成など)の多くは厚さ30km余りの地殻の中で起こっている。地殻内部に相当する一万気圧までの圧力領域を実験する上で、主要な装置は内熱式のガス圧発生装置である。これまで我が国の高圧ガス装置すべてに適用されてきた厳しい高圧ガス取締法が1998年に改正され、不活性ガスを用いる我々のガス圧装置に対する規制が大幅に緩和された機会を利して一万気圧級の高圧実験に耐える装置を開発する事を我々は目指した。ただし本科研費交付内定後に予算内で実現可能な発生最高圧力を再検討した結果、本装置の最高使用圧力は850MPa(約8600気圧)に修正した。平成11年度は神戸製鋼の技術者と共同で装置の基本設計を行った。平成12年度には高圧ガス容器を含む装置本体を製作した。平成13年度は圧力自動制御ユニットを製作し、東工大で初めて8600気圧までの加圧及び1500℃までの昇温試験を行った。外部から油圧の基づいた圧力制御を行うと、ガス圧部分にかかるシールパッキンの抵抗で200-300気圧のガス圧に相当する摩擦が働く事が明らかになった。本体内部のガス圧をさらに正確に測定し制御するため、マンガニン線圧力ゲージを圧力容器内に設置した。マンガニンゲージの抵抗変化から圧力を10気圧以内の精度で読み取ってコントロールできるシステムを東工大で開発した。以上の装置を平成14年2月完成し、東京都環境局高圧ガス課の現地調査を経て設置を正式に許可された。
本装置は1)8600気圧の高いガス圧力を発生可能である事、2)試料を落下させる事により急速凍結が可能である事、3)マンガニンゲージで測定したガス圧力を油圧にフィードバックする事により正確にコントロールできる事、などの特徴を有する世界的に見てもユニークな高圧実験装置である。
【研究代表者】