高感度・高分解能測定法を用いた海洋における溶存有機態窒素の動態に関する研究
【研究分野】地球宇宙化学
【研究キーワード】
溶存有機窒素(DON) / 溶存有機炭素(DOC) / C : N比 / 高感度・高分解能測定 / 窒素循環 / 海洋 / 元素分析 / C:N比
【研究成果の概要】
高温燃焼酸化-化学発光検出による、海水中の溶存有機態窒素(DON)の高感度・高分解能測定システムを確立し、これを利用して様々な海域における海水中のDONの分布、また、保存実験による表層海水中のDON分解過程、サンゴによるDONの溶出過程の詳細を明らかにした。確立されたシステムは、国際的な相互機器検定プロジェクトにおいてその高いパフォーマンスが認められた。また、このシステムにおいては、DONと同時に溶存有機炭素(DOC)の測定を行うことができるため、DONの動態をDOCと比較しながら明らかにすることができ、また両者の比をとることにより、これまで知見が乏しかった海洋における溶存有機物のC : N比の特徴についても明らかにすることができた。特に、外洋域の表層におけるDOCのDONの時空間分布には明らかな違いが認められ、生産性の低い海域、あるいは生産性の低い時期ではよりCリッチな溶存有機物が長期間わたり安定して蓄積するのに対し、生産性の高い海域や時期には、よりNリッチな溶存有機物が一時的に蓄積することが明らかとなった。また、一部の試料については、有機態窒素の代表的な構成成分であるアミノ酸(全溶存アミノ酸:TDAA)の測定も行い、DONに占めるTDDA態窒素の割合、DOCに占めるTDAA態窒素の割合に関する情報を得た。本研究でDONの動態解析に用いた試料をまとめて以下に示す。
(1)東経165度線上、北緯28-48度の間の表層水中の南北分布
(2)上記試料を300日間暗所室温で培養した際の細菌による分解過程
(3)同測線上に設けた緯度5度間隔の測点における鉛直分布
(4)西部北太平洋親潮海域における観測ラインA上における表層における季節分布と分解過程
(5)東京湾荒川河口域における分布
(6)石垣島白保において採取したサンゴの培養実験による放出過程
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2004 - 2005
【配分額】3,500千円 (直接経費: 3,500千円)