可聴下波動伝播特性による南極域の多圏融合物理現象解明と温暖化影響評価
【研究分野】環境動態解析
【研究キーワード】
氷河地震 / 温暖化 / インフラサウンド / 脈動波浪 / 氷震微動 / 多圏融合物理現象 / 微気圧変動 / 地球温暖化 / 雪氷圏変動 / 物理相互作用 / 環境分析 / 環境変動 / 極地 / 地球観測 / 可聴下波動 / 南極域 / 波浪脈動 / 波動伝播モデリング
【研究成果の概要】
南極昭和基地の地震計と微気圧計の周波数解析により、脈動と微気圧擾乱の短時間変動、日周・季節・経年変化を求めた。また同基地の地震検知率を海氷分布と比較・統計解析を行い、気象・気候・温暖化の影響を検討した。さらにリュツォ・ホルム湾域のアレイ観測網を用いて、氷河地震や氷震微動の時空間分布、周波数・波動伝播特性を調べた。
広域データを利用し、内陸部や西南極の氷河地震活動や音源を比較検討した。また砕氷船の走行観測により、南大洋上の大気・海面擾乱による南極表層環境への影響を精査した。波動伝播モデリングにより多圏間の物理相互作用メカニズムを推定し、観測による脈動・微気圧擾乱と比較して温暖化の影響を評価した。
【研究の社会的意義】
南大洋の海面擾乱とそれに伴う気圧変動による、南極域の浅層大気と固体地球表層への応答を明らかにし、またその波動群の振幅強度や周波数特性の経年変化を海氷分布等との相関を調べた結果、温暖化の南半球高緯度帯への数年単位での影響を評価できた。
氷河地震活動の時空間分布の長期間の解析結果は、極域の温暖化モニタリングの新しい指標となり得ることが示され、地球規模環境変動の雪氷圏への影響とその増幅メカニズム解明への貢献が期待される。さらにインフラサウンドのアレイ解析により、海洋波浪、氷床・氷河・海氷起源の振動の時空間分布を検知し、極域表層環境変動に伴う大気-海洋-雪氷-固体地球の相互作用の解明に貢献した。
【研究代表者】