氷期-間氷期における北太平洋亜熱帯モード水の挙動とその役割
【研究キーワード】
北太平洋亜熱帯モード水 / 氷期 / 間氷期 / 琉球列島 / 腕足動物 / 炭素同位体比 / 酸素同位体比 / 古海洋環境復元
【研究成果の概要】
過去の亜熱帯モード水の分布・物理・化学的性質を再現性高く復元するためには,現在の亜熱帯モード水影響下の現生生物・準化石の群集組成・地球化学データと実際の海洋観測データおよび水塊構造を比較し,亜熱帯モード水の分布・組成を定量的に評価できる手法を作成し,それを化石試料に応用する必要がある.2020年度は,2019年度に現生試料を用いて確立した手法を琉球列島周辺海域より得られた腕足動物の準化石に応用し,過去約2万年間の亜熱帯モード水の物理・化学的性質(水温・塩分・溶存酸素濃度・炭酸系など)および分布と琉球列島中層域の水塊構造の時系列変化を検討した.具体的には,2019年度に確立したB. lucida準化石が1)合弁試料,2)離弁試料,3)破片試料だった場合に分けたサンプリング法に基づいて粉末試料を作成し,その炭素・酸素同位体分析,微量金属元素分析,放射性炭素年代測定などを行った.また,琉球列島周辺の表層堆積物のネオジム・ストロンチウム同位体比も検討した.その結果,B. lucida準化石の炭素・酸素同位体比から過去2万年間の水温・塩分,溶存無機炭素濃度の空間分布の変化を部分的に復元することができた.また,同準化石の微量金属元素濃度分析は,同一試料に物理・化学クリーニングを行い,その必要性について検討している.琉球列島周辺の表層堆積物のネオジム・ストロンチウム同位体比を分析した結果,沖縄本島周辺と八重山諸島周辺とで,亜表層水の海水の起源が異なる可能性が示唆された.
【研究代表者】