環境変異原検出系として有用なcDNA修復能不全トランスジェニックメダカの作成
【研究分野】環境影響評価(含放射線生物学)
【研究キーワード】
メダカ / DNA修復 / 紫外線 / 光回復酵素 / 突然変異 / 光回復酸素 / トランスジェニック / PCR / トランスジェニック魚類
【研究成果の概要】
メダカ光回復酵素遺伝子を高発現ペクターに組み込んだものを作成し、マイクロインジェクション法によりメダカ初期胚に光回復酵素高発現コンストラクトを導入した。
光回復能が遺伝子導入によりメダカ胚で上昇したがどうかを調べるため、紫外線照射メダカ胚に可視光処理し、その後の発生中の形態異常を観察した。対照群に比ぺ発生中の形態形成異常が可視光処理によりどの程度軽減されたかどうかを指標としたが、マイクロインジェクション個体での光回復能の上昇を示す有為な差は検出されなかった。これは、体細胞レベルで光回復酵素遺伝子が高発現しているものがキメラ状にしか出現しなかったためと思われる。実際、in situ hybridization法では、当該遺伝子のキメラ状の高発現が観察された。生存した個体を成体まで飼育したが、生殖細胞系列への遺伝子導入は認められなかった。PCRを利用して特定遺伝子座のγ線誘発突然変異体を見つけられないかと考え、DNA損傷の修復酵素である光回復酵素(phr)遺伝子とp53遺伝子を用いて、PCRを利用した欠失変異体の検出を試みた。
メダカの北日本集団由来の近交系HNI(♂)に^<137>Csを線源とした4.75Gyのγ線を照射し南日本集団由来の近交系AA2(♀)とかけ合わせた.PCRで、F1ヘテロ個体の欠失をスクリーニングした。欠失はすべて父方由来のDNAで起こっていたので、γ線照射による変異と考えられる。欠失変異体における近傍マーカーの解析から、発生異常胚の欠失の大きさは42〜63cMと推定された。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】1995 - 1997
【配分額】4,200千円 (直接経費: 4,200千円)