モルデナイト型チタノシリケート触媒を用いる液相酸化プロセスの開発
【研究分野】触媒・化学プロセス
【研究キーワード】
モルデナイト / チタノシリケート / 触媒 / アトム・プランティング法 / 液相酸化 / 過酸化水素 / 水酸化 / アンモオキシム化 / 脱アルミニウム / ゼオライト / アトム・プランティング / 触媒作用 / キャラクタリゼーション / アトム-プランティング法 / アンモオキシメーション / フェノール
【研究成果の概要】
脱アルミニウムしたモルデナイトを、TiCl_4を用いたAtom-planting処理することにより、モルデナイト型チタノシリケートを調製した。UV拡散反射スペクトルにおいて220nmに強い吸収が現れたことから、導入されたチタンが4配位状態であることが明らかとなった。また、透過IRスペクトルにおいて963cm^<-1>に吸収が現れ、その吸光度とチタン含有量が比例することから、導入されたチタンがすべてモルデナイト骨格に組み込まれていると考えられる。チタンはモルデナイトの格子欠陥サイトと反応し、773K以上でAtom-plantingを行うとチタンは4本のTi-O-Si結合を形成することを見い出した。
モルデナイト型チタノシリケートを触媒として、トルエンの過酸化水素による水酸化を行った。生成物は主にクレゾール異性体であり、選択率は99%以上であった。チタン当たりの反応速度(TON)は、脱アルミニウムにより触媒の疎水性を高めると向上した。反応物にベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、クメン、t-ブチルベンゼンを用いると、TONはベンゼンからクメンまではあまり変化せず、t-ブチルベンゼンでは大きく低下した。一方、モルデナイトよりも細孔径が小さいMFI型チタノシリケートを触媒とすると、ベンゼンではモルデナイト型と同程度のTONであったが、トルエンでは半分程度に減少し、エチルベンゼン以上では大幅に減少した。このことは細孔径が大きいモルデナイト型チタノシリケートが従来のMFI型と比べ、嵩高い分子の水酸化に有利であることを示す。一方、アンモニアと過酸化水素を用いたケトン類のアンモオキシム化においては、963cm^<-1>のIR吸収バンド強度とアンモオキシム化反応速度が比例関係にあることから、水酸化と同様骨格チタンが活性点であることが明らかとなった。骨格中のアルミニウム含有量の減少とともにTONおよびオキシム選択率とも向上したことから、触媒の疎水性が活性だけでなく選択性にも影響を及ぼすと結論した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
庄司 宏 | 丸善石油化学株式会社 | 研究所 | 主任研究員 |
小松 隆之 | 東京工業大学 | 理学部 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】1995 - 1997
【配分額】10,000千円 (直接経費: 10,000千円)