21世紀型放射能被害など蓄積的損害・大災害の居住福祉救済システムの学際的構築
【研究キーワード】
蓄積的損害 / 地球温暖化 / 災害復興 / 疫学的因果関係 / 総合的救済 / 放射能汚染 / 居住福祉 / (疫学的)因果関係 / 補償 / 環境危機 / 戦争 / 蓄積的環境損害 / 居住福祉救済 / コロナウィルス災害 / 原発被害 / 水害 / 被災地生活再建支援法 / 被災コミュニティの保護 / 放射能損害 / 疫学 / 水俣病 / 自然災害 / ウィルス災害 / 予防・警戒原則
【研究成果の概要】
福島の原発事故による放射能被害を皮切りに、蓄積的損害に関わる被害者救済の学際的考察を幅広く行うことを目指してリセットをかけた本研究だが、原発事故の被害者救済について、定期的な実務家との研究会にもかかわらず、関連の裁判例は芳しくなく(とくに放射能被害の知見が問われる『自主被害者(区域外被害者)』の問題)、非力を感じ、更なる学際的研究の詰めを求めたい。
災害復興との関係で、否応なく地球温暖化問題(水害、森林火災、熱帯雨林の破壊)に直面することとなり、その関連場所の訪問や会議報告を行った。東南アジア、南アメリカ(とくにブラジル)などにおける自然環境破壊は、先住民族問題も関係し、自然災害難民も生んでいて、グローバルな経済、資本主義権力とも深く関わり、21世紀の難問で打開策は急務なのだが緒はつかみがたく、因果関係の立証も難しく、不法行為救済を超える枠組み作りに苦慮している。さらに世界はコロナウィルスウイルス災害に席巻されるようになり、感染防止の点から身動きがとれなくなり、現場主義的研究・実証的(経験的)研究をモットーとしている本研究の手法は、同様に求められるだろう。
これらの課題との関係で、本年度は、別素材で視野拡大を試みた。例えば、沖縄ないし琉球弧の島々における米軍基地・軍事基地の環境悪化の調査に努め、これに関して、フランス・マルセイユのIUCN世界会議の場で、世界自然遺産(沖縄北部のやんばるの森など)との関係での環境問題を指摘し、地元紙でも注目された。軍事基地が急激に増強される宮古島における環境悪化の問題についても、「国防と居住福祉」の問題提起をした。そうこうするうちに、ウクライナ戦争が始まり、究極の環境破壊である戦争問題、核汚染危機も考察対象になりつつある。不実情報や補償・平和問題(関係修復)に真っ向から背を向ける行動様式にどう対処するかという難題に対峙することになっている。
【研究代表者】