19-20世紀転換期のロシア女性作家研究―ジナイーダ・ギッピウスを中心に
【研究キーワード】
ロシア文学 / 比較文学 / 世界文学 / フェミニズム批評 / ジェンダー / セクシュアリティ / 女性文学 / フェミニズム / 皮膚 / 自我、主体
【研究成果の概要】
2021年度も新型肺炎感染拡大による影響は依然大きく、予定していた海外出張を行うことはかなわなかった。一方で、関連する国際学会はオンライン開催され、海外渡航をせずとも国際学術交流は可能になりつつある。21年度はこのようにオンラインによる学術交流、資料調査を実施しつつ、国内での学会発表、論文執筆に取組んだ。
具体的な研究実績としては、学会発表・講演をそれぞれもとにして執筆された論文・講演録を挙げる。すなわち、21年6月日本比較文学会での発表「『流動する主体』と『皮膚』ーージナイーダ・ギッピウスのフェミニズム」をもとにした論文「ジナイーダ・ギッピウスのフェミニズムーーモニク・ウィティッグとの比較を中心に」(『比較文学年誌』第58号)、および、21年10月の早稲田文芸・ジャーナリズム学会での講演「犬と読む書物」をもとにした同名の報告(『早稲田現代文芸研究』第12号)である。
前者の学会発表・論文は、ギッピウスを20世紀後半以降の欧米のフェミニズム理論、とくにウィティッグやジュディス・バトラーと接続するという明確な目的を持ち、あわせて、<主体>と<皮膚>の概念等を通じて、現代日本文学の一端、具体的には松浦理英子の文学との親近性を示すことで、ギッピウスの理論的先進性を指摘し、さらには、ギッピウスを世界文学の文脈に位置づけることを目指すものであった。
後者の講演・報告は、ヴァージニア・ウルフなど犬を描く女性文学を起点に、ギッピウスの生涯と創作における動物の表象、さらに、動物性愛者をめぐる文化人類学的考察、ダナ・ハラウェイの理論を紹介しつつ、文化と自然の境界上に位置する犬という存在を通して、ジェンダー、セクシュアリティを横断する多様な問題群を提示するものである。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)