東欧のファシズムの比較史―戦間期権威主義体制の「新しさ」をめぐってー
【研究キーワード】
ファシズム / 権威主義 / 戦間期 / 東欧 / クロアチア / リトアニア / ハンガリー / ナショナリズム
【研究成果の概要】
戦間期の東欧諸国(3国)における権威主義政治について、(1)ファシズム体制国家に隣接する「小国」諸国における、対外関係と国内体制の関係をめぐる同時代の論点と「選択肢」がどのようなものだったか、また、(2)東欧権威主義体制がかかえる西欧自由主義諸国ともファシズム諸国とも共通する同時代的な政策課題と社会史的な論点がどのようなものであるか、の2点を明らかにした。
(1)については、ユーゴスラヴィアにおける対イタリア関係とリトアニアにおける対ドイツ・対ソ連関係が、体制の維持や変化の選択をめぐる戦術や議論とどのような関係にあったかを、政治勢力や政治家集団を軸に解明した。(2)については、ハンガリーにおける福祉政策と人種主義政治、さらに女性の地位をめぐる政治の形成する分かちがたい相互連関構造の様相を明らかにし、戦間期における再分配をめぐる政治と排除・序列化の政治の関係におけるいくつかの論点を示した。
以上の点はいずれも、日本国際政治学会2021年度研究大会において、研究成果の発表を行った。またリトアニアについては、特に対ナチ協力に着目してより具体的な実態の解明への道筋を探求し、これについても発表する機会を得た。
これらに加えて、以上の問題意識と成果を踏まえた場合、「リトアニア史」像、「バルト史」像や「戦間期ユーゴスラヴィア史」像がいかに新たなものとして可能になるか、どのような論点の中で新たな歴史研究が求められ、また可能なのか、さらに、ファシズム・権威主義の歴史が現在におけるどのような政治資源としての歴史像として機能しているのか、という点についても、事典項目や翻訳解説のかたちで成果を発表した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
重松 尚 | 東京大学 | 大学院総合文化研究科 | 助教 | (Kakenデータベース) |
門間 卓也 | 関西学院大学 | 文学部 | 研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)