工学における逆問題の適切性の数学的研究とその工学への反映
【研究分野】広領域
【研究キーワード】
逆問題 / 非適切性 / 安定性 / 数値計算 / 設計 / 偏微分方程式 / 積分方程式 / 正則化 / 適切性 / 数値解析 / 数理工学
【研究成果の概要】
本研究課題においては広領域にわたる研究組織の下で、数理工学において基礎方程式として現れる流体あるいはラプラス場、振動系における逆問題ならびに材料特性・負荷の決定に関わる逆問題についてその一意性ならびに安定性などの適切性の構造が数理解析的立場から解明された.さらに数理解析的成果から効率的かつ合理的な数値解析手法の開発にむけた研究がなされた。
工学とその関連分野における逆問題の研究に関して、数理解析と数値解析的側面の両面にわたる研究者の組織化が本研究課題の大きな特色であるが,それと同時に本研究組織には広い専門分野から分担者が加わっているので、先端工業技術などの支援のためにも機敏に適応し、総合的見地から寄与することが可能であった。
数理解析的側面においては、伝統的な数学解析の見地から不適切な問題とされて研究がなおざりにされてきたさまざまな逆問題の適切性の構造が解明された。本課題におけるこのような研究成果としては、カ-レマンによる偏微分方程式に関する古典的な評価による逆問題の解の一意性の成果および制御論によって逆問題の一意性から安定性を導く手法,非適切性成分の数学的研究などをあげることができる.逆問題の一意性に関しては,この分野の第一線にある研究者をアメリカ,ロシア,フランスなどから日本に招せいして集中的に討論・研究連絡を行なった.
これらの理論的成果は逆問題の数値解析に結合されるべきものであり、特に前項の非適切成分の研究などは信頼性のある数値解法のために応用されつつある.
【研究代表者】