超励起酸素原子(O^<**>)ビームを用いた超伝導の薄膜 成長と発現機構の研究
【研究分野】広領域
【研究キーワード】
励起原子 / 酸素 / 酸化物高温超伝導体 / 薄膜 / 表面 / 超高真空 / 反射高速電子回折 / 全反射X線分光 / 反射高速電子回析 / 全反射角X線分光
【研究成果の概要】
平成8年度は、前年度に作製した励起原子ビーム源を更に改良し、真空槽内にメカニカルチョッパーを設置し、励起原子ビームをパルス化した。こうして作製したパルスビームの約50cm下流に光電子増倍管(セラトロン)を設置し、この信号をメカニカルチョッパーのゲート信号をトリガーとして積算することにより、作製した励起酸素原子ビームの飛行時間(TOF)スペクトルが求められるようになった。その結果、ヘリウム準安定励起原子では3000m/s付近を極大とする分布が得られるのに対し、励起酸素原子ビームは2000及び500m/s付近を極大とする分布を持つ事がわかった。さらにこの励起酸素原子ビームのTOFスペクトルにおいていくつかの内部構造ピークが観測された。このことは、励起酸素原子のエネルギー状態によって異なる速度分布を持つ可能性があることを示唆しており、作製した励起酸素原子ビームの飛行時間選別を行うだけで励起酸素原子のエネルギー状態を選別出来る可能性が出てきた。これについてはレーザー等を用いた更に詳細な実験による検証を検討中である。
また本年度は、作製した励起原子ビーム源を差動排気チャンバーを介して、超伝導薄膜を作製するための超高真空チャンバーへの接続も試みた。その結果、励起酸素原子ビームを流している状態で超高真空チャンバーの真空度を保つためにはイオンポンプだけによる排気では困難であることがわかった。そこで新しくターボ分子ポンプを購入し、超伝導薄膜作製用超高真空チャンバーへの接続を行った。
更に、本研究で作製したビーム源において、酸素ガスの代わりに窒素や二酸化炭素等のガスを用いる事により、励起窒素原子や上記の励起酸素原子とエネルギー状態の異なるビームが作製出来る事もわかり、生成条件を追求している。
【研究代表者】