陽電子消滅誘起特性X線分光法の開発
【研究分野】広領域
【研究キーワード】
陽電子消滅 / 陽電子ビーム / 陽電子消滅誘起特性X線 / 特性X線 / 薄膜 / 陽電子減速材 / タングステンメッシュ / 電解研磨
【研究成果の概要】
陽電子を試料に入射すると、多くは外殻電子と対消滅するが、わずかな確率で内殻電子とも対消滅して空孔を生成し、オージェ電子や特性X線を生成する。このオージェ電子はすでに検出されており試料最表面の元素分析に利用されているが、特性X線は検出されたことがない。本研究課題では、試料に低速陽電子ビームを入射し、この特性X線を検出する実験を行った。低速陽電子ビームを用いたのは、陽電子衝撃による特性X線を発生させないようにするためである。
はじめに、ビーム強度を向上させるために、高効率陽電子減速材の開発を行った。減速材としてタングステンメッシュを用い、電解研磨によってメッシュのワイヤーを細くしたものを重ね合わせることによって、7.5×10^<-4>という高い効率を実現した。これは、希ガス固体を除く透過型減速材中最高の値である。希ガス固体と比べて安定でしかも安価であるという長所を持っている。
陽電子消滅誘起特性X線を発生させるためには、オージェ電子の場合に比べて、より内殻の電子を消滅させなければならないが、そのような電子と陽電子の波動関数の重なりは小さいので対消滅の確率は極めて低い。このため、陽電子消滅誘起特性X線検出のためには、測定に伴うバックグラウンドを極力低減する必要がある。陽電子を入射したとき(1)消滅γ線がX線検出器の結晶中でコンプトン散乱を起すことによる信号、および(2)γ線励起のX線が発生し、バックグラウンドとなる。(1)を低減するために通常より薄い結晶を用いたSi(Li)X検出器を開発した。さらにシンチレーション検出器を用いて同時計測を行い、γ線がX線検出器に入射しない条件のもとで測定を行った。また(2)を低減するために、Alに蒸着したTiおよびカーボン表面に電着したClを試料として用いた。しかしながら、本研究課題の研究期間内には、明確な形で陽電子消滅誘起特性X線は検出することはできなかった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
斎藤 晴雄 (斉藤 晴雄) | 東京大学 | 大学院・総合文化研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
長嶋 泰之 | 東京大学 | 大学院・総合文化研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2000 - 2001
【配分額】12,800千円 (直接経費: 12,800千円)