20世紀における戦争とメディア -両世界大戦期の情報文化に関する歴史社会学的研究-
【研究分野】社会学(含社会福祉関係)
【研究キーワード】
プロパガンダ / メディア / 戦争 / 東アジア / 内閣情報部 / イメージ / ナショナリズム / 植民地主義 / ポスター / 第一次世界大戦 / 満州 / フィリピン
【研究成果の概要】
本研究では、満州事変から第2次大戦にかけての時期の戦争プロパガンダとメディアの表象、情報・宣伝の理論とシステムに関し、社会学、歴史学、メディア研究、美術史映画史、デザイン史、写真史などの研究者が協力して調査と分析を進めてきた。とくに、研究代表者の吉見が属している東京大学社会情報研究所が所蔵する大量の戦時プロパガンダ関係の資料について、画像データベースの作成と分析の作業を進めた。これらの資料類には、昭和初期に外務省情報部が集めたとされる第1次大戦時の米国など海外諸国の戦争宣伝ポスター約600枚、及び内閣情報部が昭和14〜16年頃に製作した満州及びフィリピンにおける数百枚の宣伝資料が含まれる。データベース作成は、作業スタッフの努力によって順調に進み、第一次世界大戦時の宣伝ポスターについて、基礎データの入力と英語、フランス語、ロシア語などを含む多数の言語からなる資料のテキスト部分についての翻訳作業を終えた。内閣情報部関連の資料に関しても、中国語資料についての翻訳と基礎データの入力作業が完了した。また、これらの社会情報研究所所蔵資料との関係において、国内外の戦時プロパガンダ関係資料の所蔵機関についての調査を進め、このテーマに関連して開かれた展覧会やコレクション資料、研究資料の収集も進めた。以上の研究成果を踏まえて現在は、今回のプロジェクトで作成したデータベースをより大規模なデジタル・アーカイブのシステムのなかに組み込むかたちで発展させるべく基礎的な作業を進めている。
【研究代表者】