地域共生社会における「意思」と「主張」をめぐる人びとの「支援実践」の領域横断研究
【研究キーワード】
地域共生社会 / 意思 / 障害者 / 認知症 / ケアのロジック / 支援 / 障害
【研究成果の概要】
今年度も新型コロナウィルス感染症流行に伴う各種の制限によって、各研究者の大幅なエフォートの変更や調査等実施の困難さが生まれ、当初の計画で予定していたさまざまな研究者を招いての研究会実施等を予定どおりには遂行できなかった。しかし、研究分担者及び関係する若手研究者が参加する研究会を複数回開催し、各自の進めている調査研究の報告を行いつつ、各自の研究発表のブラッシュアップを行った。分野領域横断的に知見をつなぐことを主眼とする本研究課題においては、基本的に各自がそれぞれの領域で研究を進めているが、こうした研究会で討論することによって、地域共生社会における意思・主張をどう捉えていくかという本研究課題に立ち返っての位置付けを行うことができた。なお、研究会では、井口は認知症の包摂をめぐる運動・政策における共生と予防との関係について、木下はコロナ禍におけるリモート面会における本人の意思の問題について、海老田は認知症鉄道事故における本人の意思の問題について、前田は介助現場における介助する-される関係を通した障害理解に関して報告した。さらに、12月には社会政策研究ネットワークとの共催で、在宅医療の社会学を医師の立場で行っている研究者からACP(アドバンス・ケア・プランニング)に関する研究、福祉社会学を専門としている研究者から成年後見制度の社会学に関する報告を行ってもらい、本研究課題に関する今後の議論を広げていく契機とした。
今年度も、各自がこれまでの研究を振り返ることや、本研究課題のミッションの再確認が中心となったが、わずかではあるが領域横断的に知見を生み出していく作業に一歩を踏み出せた。その成果として、そうした新たな展開を示すものを学会発表や論文の形で出すことができた。
【研究代表者】