乳幼児の生活場面移行とそれにともなう行動調整能力の発達
【研究分野】教育心理学
【研究キーワード】
家庭 / 保育園 / 食行動 / 定常場面 / 泣き / 拒否 / 乳幼児
【研究成果の概要】
「保育園」と「家庭」という子どもの生活にとって重要な意味をもつ2つのシステムに注目し,その間を往復する子どもが,その場面移行に伴ってどのような行動の調整を行いつつそれに適応しているか,あるいはそれがどう発達するかを,いわゆる「基本的生活習慣」と従来よばれてきたものの獲得過程における養育者と子どもの葛藤や支援・協力などの実態を手がかりに検討した。
11&#12316;28か月齢までの同一対象児22名における定常揚面での泣き、および摂食様態の発達について、家庭と保育園で比較検討した。その結果、保育園よりも家庭で子どもはよくかつ激しく泣くことがわかり、家庭が親子の確執の場であることが示された。一方摂食様態としては、保育園で子どもの自食や道具使用が家庭よりも早発し、子どもが「食事」を社会的により自律的に食べているのに対し、家庭では手づかみが多かった。家庭は子どもの拒否行動が多い傾向があり、子どもの拒否への養育者の対応として、保育園でのみ、<間接的・迂回的摂食>や<自食を促す>といった子どもと距離をとる方略を用いることが特徴であった。
また9&#12316;36か月までの子ども12名を対象に、3か月に1度の縦断的観察により、摂食様態の発達、子どもの拒否行動と保育者の対応および摂食に関する保育者の制止行動について調べた。その結果、受動的摂食から自食への移行は12&#12316;15か月にかけて達成され、道具による自食は12か月以降に出現し、21か月以降、道具による自食が手づかみのそれを上回るというプロセスを示した。その過程で、手づかみへの保育者の制止や道具保持への子どもの執着、子どもの拒否行動とそれへの保育者の対応に興味深い変化が見られた。保育者の対応の中でも<間接的・迂回的な摂食促し>は子どもの自ら食べたい気持ちを引き出す保育者の対応として特に興味深いものであった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
河原 紀子 | 早稲田大学 | 人間科学学術院 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2005 - 2006
【配分額】2,400千円 (直接経費: 2,400千円)