乳児の音韻弁別能力の個人差と幼児期の言語発達の関係を探る縦断的研究
【研究キーワード】
乳幼児 / 言語発達 / 個人差 / 音韻弁別能力 / 縦断研究 / 乳児
【研究成果の概要】
本研究は、言語発達の初期段階に見られる乳児期の音韻弁別能力の個人差を生む要因の詳細な検討と、幼児期の言語運用・コミュニケーション能力との関係性を解明することを目的としている。特に本研究では、乳幼児期の言語発達を生理‐行動‐親への質問紙という異なる側面から検討するのみではなく、乳児期から幼児期へと月齢縦断的に検討することで、さらに多次元から乳幼児期の言語獲得・発達のメカニズムの解明に迫る。そのために1.乳児期の音韻知覚処理における個
人差要因の詳細な解析と2.これまでに得られている、心拍数、瞳孔径の解析を行った。
本年度は前年度に引き続き、1.について、縦断データ解析の従属変数となるMCDIを用いて測定された18,20ヶ月児の語彙能力の解析と家庭環境の相関分析、またストレス耐性実験で得られた10ヶ月児の行動、生理指標測定との相関解析を継続して行った。これまでに明らかにした、語彙能力とSES(Socio Economic Status)との無相関に加え、我が
国の20カ月児の語彙数を予測する社会的要因として、母親の就労状況(就労中、育休中、専業主婦)が関係していることが明らかとなった。興味深いことにこれは、乳児が保育園に通っているかどうかという要因とは独立していることから、入力の多様性から説明できることとは考えにくく、親の就労形態の差異における家庭環境が関係していると推測される。2.については、大規模縦断研究であることから、本年度までにすべてのデータの下処理を終えられた。これをもとに、現在従属変数となる各指標を算出、まとめているところである。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)