幼児のからだの異変とその対策
【研究分野】生活科学一般
【研究キーワード】
幼児 / 生活状況 / 体温異常 / 体格 / 異変 / 健康教育 / 母子保健 / 児童福祉
【研究成果の概要】
本研究では,近年の幼児のからだの問題,中でも「体温調節」と「体型」に問題をもつ子どもたちを取り上げ,その実態を把握するとともに,問題改善のための対策と具体的な保育実践について検討した。対象は,保育園児103名とし,平成15年4月から平成17年3月までの2年間,生活状況や身長・体重,体温,握力,生活活動量としての歩数を測定した。そして,5月と11月には,幼児の「体力・運動能力テスト」を実施し,分析をした。
その結果,(1)幼児の就寝時刻は,睡眠時間・翌日の起床時刻,登園時刻に影響し,握力値,体温の日内変動にも関係しており,生活リズムへの影響は,就寝時刻の要因が重要視されるとともに,生体リズムに反映していることが示された。また,(2)体型は,筋力,運動能力に影響を及ぼす重要な要素であることを確認した。運動種目の成績と身長および体重との相関が認められ,とくに体重は,跳躍力や走能力とは負の相関となった。体型の大きい幼児は,筋力,片足バランス,ボール投げ,立ち幅跳びにおいて正の相関がみられた。つまり,運動能力を高めるには,園内生活時の身体活動量を増す必要があった。また,筋力と歩数との間に,男女とも有意な相関がみられ,さらに,運動種目間相互にも有意な相関がみられたことから,筋力値を高めることは運動のパフォーマンス全体の能力を向上させることになることが示された。(3)幼児のからだの問題を改善し,子どもたちが毎日を生き生きとして暮らせるようにするためには,「生活の中に運動を取り入れること」「早めの就寝と起床を心がけること」等,手軽にできることから始めていくことの大切さを確認した。
【研究代表者】