情動刺激で惹起される脳活動の測定に基づく慢性腰痛患者の評価の試み
【研究キーワード】
慢性腰痛 / fMRI / 扁桃体 / 前頭葉 / 島皮質 / 非接触センサー / 脳反応 / 非接触センター / 情動刺激
【研究成果の概要】
腰痛症例 20例(腰痛群:男性10例、女性10例:平均55.2歳)を対象とし腰痛のない20例を対照群(男性10例、女性10例:平均54.5歳)との比較検討をした。
f MRIでは腰痛に関する質問(Pain Condition)、腰痛に関連しない質問(Neutral Condition)を聞かせ、脳活動を測定した。脳活動の大きさはβ値を算出し、region of interest (ROI)解析を行った。β値はNeutral Condition, Pain Condition, Pain-Neutral(P-N)Conditionの3条件で対照群と腰痛群で比較した。腰痛患者は日本整形外科学会腰痛評価質問表(JOABPEQ), Pain Catastrophizing Scale(PCS), Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS),Oswestry Disability Score(ODI)の調査も行った。【結果】対照群と腰痛群の左扁桃体のβ値は(P-N) conditionで対照群 -0.080±0.164,腰痛群0.071±0.227であり腰痛群が有意に賦活化していた(P=0.02)。右扁桃体ではβ値はP-N conditionで対照群 -0.035±0.174,腰痛群0.065±0.138であり腰痛群が賦活化する傾向にあった(P=0.05)。扁桃体において、(P-N)conditionにおけるβ値とPCS,HADS,JOABPEQ,ODIとの相関を検討した。扁桃体のβ値とJOABPEQは正の相関を認めた。左扁桃体のみODIと負の相関を認めた(r=-0.49、P=0.03)。現在のところ慢性腰痛症例の脳反応と腰椎機能が正の相関があることが判明している。また破局的思考・抑うつ状態・不安状態を示す心理評価との相関は認めていない。一方でJOABPEQの心理障害とは正の相関を認めた。顔画像との相関については解析中である。結果は2022年の日本脊椎脊髄病学会で報告した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
小谷 泰則 | 東京工業大学 | リベラルアーツ研究教育院 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)