長岡藩牧野家の歴代藩主・正室の人類学的再検討
【研究キーワード】
骨考古学 / 近世大名 / 復顔 / 安定同位体分析 / DNAk解析 / 出土人骨 / 貴族形質 / 鉛中毒 / ストレスマーカ / 人類学 / 古人骨 / DNA分析 / 長岡藩
【研究成果の概要】
1985年に港区済海寺より長岡市栄凉寺に改葬された長岡藩牧野家歴代の遺骨を研究初年度に現当主牧野忠昌氏の立会いの下墓石を除去し取り出した後、新潟医療福祉大学に搬入して研究を着手した。新たに復顔する藩主4代忠壽、8代忠寛、9代忠精、11・14代忠恭、8代正室長姫、10代正室逸姫のうち、藩主4代忠壽は分担者の戸坂、9代忠精は分担者の川久保、8代正室長姫、10代正室逸姫は分担者の鈴木・波田野が完成させ、復顔に関しての班会議を実施した。8代忠寛、11・14代忠恭の復顔は作業も順調に進め今年度中の完成を目指す、新たに8代正室長姫の祖母である大岡?の復顔を着手する予定である。
徳川将軍家を含めた支配階層と庶民との比較で牧野家頭骨がどのような位置を示すか検討した。江戸時代に階層によって生前受けていたストレスが違っていたことの報告例が増加しているが、牧野家に関してはこの情報が抜けているので、より精密な大名一族の生活環境復元を目指すためクリビア・オルビタリア、エナメル質減形成、ハリス線、骨膜炎の各種ストレスマーカの出現状況を確認した。なかでもこれまで各研究者で評価基準が曖昧だったハリス線に関して、X線のみならず、CT撮影も行い、評価基準の確立を目指した。さらに、江戸時代には上級武士などでは高頻度で入歯を使用していたことが知られているので、大名家系の口腔衛生状況を解明をめざすため生前喪失歯、咬耗、歯冠損傷痕、齲歯、歯石(歯垢)の付着度、歯周病などの多岐にわたる口腔衛生指標を検討して来たが、比較対象として江戸時代の農村部から出土した人骨を観察した。江戸時代の支配層の幼児死亡率の高さの要因を探るべき鉛分析のためのサンプリングを行い分析を着手した。
【研究代表者】