日本列島で土器を使い始めた人々の形態・遺伝子・食性・健康状態を解明する
【研究キーワード】
土器出現期 / 日向洞窟 / 人骨 / 系統 / 生活誌 / 更新世 / 縄文時代草創期
【研究成果の概要】
土器の利用開始は、ヒト社会に強いインパクトを与えた人類史上の重大イベントである。「どのような人々が土器を使い始めたのか」という人類史上の重大問題に答えるため、山形県日向洞窟から出土した約13,000-11,000年前の縄文時代草創期人骨群を対象とし、多角的な考古科学研究を実施する。この時期の人骨は他になく、本人骨群は土器出現期の人類集団の形質を探るための第一級資料である。本研究は、人骨の形態解析・放射性炭素年代測定・核ゲノム解析・mtDNA解析・安定同位体食性分析・古病理学的分析などの多彩なアプローチを通して、縄文時代草創期の人々の形質・遺伝子・食性・健康状態を総合的に解明することを目的とする。
当該年度は、山形県立うきたむ風土記の丘考古資料館および高畠町郷土資料館を訪問して、日向洞窟から出土した人骨および動物骨を調査し、以下1-8の研究を実施する予定であった。1)人骨の形態解析、2)人骨の放射性炭素年代測定、3)人骨のmtDNA解析、4) 次世代シークエンサーを用いた人骨の核ゲノム解析、5)人骨の安定同位体食性分析、6)人骨の古病理学的研究、7)コラーゲンタンパク分析に基づく骨片の人獣鑑別、8)動物考古学的研究に基づく生業活動の復元。しかしながら、新型コロナウイルス感染防止対策のため、上記資料館への訪問を実現できなかったため、計画を一部変更して、先行して資料館より借り出していた日向洞窟出土人骨を対象として分析を進め、さらに、文献資料調査を実施した。また、当該年度の研究成果の一部について、学術雑誌等で発表した。
【研究代表者】