加速器C-14年代測定の実験室間の比較検定
【研究分野】文化財科学
【研究キーワード】
加速器質量分析 / AMS / 放射能測定 / 宇宙線生成核種 / 放射性炭素年代測定 / 実験室間比較検定 / 標準体 / 国際比較
【研究成果の概要】
近年,加速器質量分析(AMS ; accclerator mass spectrometry)法の開発・発展に伴い,放射性炭素(^<14>C),放射性ベリリウム(^<10>Be)等を用いた年代測定が多くの研究分野で利用され画期的な成果を挙げ注目されている.我が国には,加速器質量分析法による年代測定装置が8台稼働中であり,^<14>C測定を中心に年代測定の応用研究を進めており,文化財資料や考古学資料の年代測定において多大な成果をあげてきている.
このようにAMSによる^<14>C年代測定等がよく利用されるようになり,複数のAMS施設にまたがって年代測定を行う利用が拡大すると,機関間の測定結果の一致度,信頼度が特に重要な問題になる.そこで,加速器C-14年代測定の実験室間の比較検定の研究を計画した.
この研究の目的は,^<14>C測定に限定せず,検討対象を,AMSで測定可能な放射性同位体に広げ,(1)放射性同位体の測定に用いられる標準物質の検討,(2)AMS測定の実験室間の比較検定,を行う事とした.
しかし,この2つの課題は重要な検討課題であり,わずか1年間で解決できるものではない.^<14>C測定に関して,2つのAMS施設間で測定の比較検定を実施し,両機関で独立して測定した^<14>C/^<12>C比を比較すると,互いに良く一致することが確認された.また,標準物質の問題に関しては,ワークショップを開催して,現在使用されてる標準体の問題点について議論した.米国カリフォルニア大学の西泉邦彦博士が新たに調製された標準物質が,日本のAMS施設に配布されたばかりである.
このように研究は始まったばかりである.しかし,2,3年後には,日本のAMS施設に精度の高い標準物質が整備され,さらにすべてのAMS施設間で測定の比較検定が滞り無く実施されることを期待する次第である.
【研究代表者】