フレキシブル生産システムの運用方式に関する研究
【研究分野】社会システム工学
【研究キーワード】
FMS / Dispatching / Rule-base / Agile / Lean / Hierarchy / Design / Market / Rule-Base / 生産管理 / 階層化計画 / アジャイル生産 / 負荷計画 / ディスパッチング / ルールベース / 数理計画法
【研究成果の概要】
製造業を取り巻く環境は、急速なグローバル化の進展や顧客ニーズの多様化、世界経済の不安定化などにより問題山積の様相を呈している。本研究では、これらの問題に取り組むには、フレキシビリティの向上が不可欠との視点から、所与の生産設備に対し、その機能を最大限引き出すためのソフトウェアの仕組みについて検討した。対象生産システムとしては、いわゆるFMSを中心として、組立系で多用されるライン生産、装置系で多く見られるバッチ生産などを視野に入れて研究を進めた。得られた成果は18編の論文に発表されたが(除投稿中)、それらは以下のカテゴリーに分けられよう。
1)負荷計画サブシステム関連:ここでは、K. ShankerらのFMSの負荷計画ロジックを参考に、所要記憶容量の削減と汎用性確保の視点からアルゴリズムの改善を試み、需要動向の変化に機敏に対応し得る頑健な負荷計画システムを開発している。2)ディスパッチングサブシステム関連:ここでは、1)と同様の目的から、工場で実用に供せられているディスパッチング手順を調査分析し、ルールベースの形式による整理と体系化を試み、需要変化に機敏かつ効果的に対応し得るジョブの投入計画システムを開発している。3)統合システム関連:ここでは、負荷計画及びディスパッチング機能を連結させ、総合的性能を向上させるための運用方法を求めている。特に、ディスパッチングシステムが負荷計画結果を制約条件として最適化を図らねばならないという、階層型計画システムの枠組に注目している点に新奇性がある。4)実用性検討と実務における位置づけ:開発したシステムの実用性について、関連企業にインタビュー及び質問票送付による調査を通じて検討を行い、製造業が望んでいるフレキシビリティの内容について考察し、実用化のための問題点を整理している。5)関連する成果:リーン生産やアジャイル生産など、フレキシビリティと密接な関連を持つ概念について考察し、新たな生産パフォーマンス改善の方向性を示した。
以上、5つのカテゴリーにわたる成果を得ることによって、フレキシブル生産の高度化に一定の貢献を成し得たと考える。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1995 - 1996
【配分額】1,300千円 (直接経費: 1,300千円)