活動的ライフスタイルがQOLに及ぼす効果
【研究分野】体育学
【研究キーワード】
活動的ライフスタイル / 身体活動 / 運動習慣 / 健康増進 / 日常生活活動量 / QOL / ウオーキング / 行動変容ステージ / ウォーキング
【研究成果の概要】
本研究は、我々がこれまでに実施してきた「ウォーキングプログラム」の参加者に対して追跡調査を実施することによって、「身体活動度の変化」ならびに「QOL指標の変化」をもたらす要因ならびにその相互の連関について検証することを目的としている。
平成13年度は、終了一年後の日常生活活動量の推移について検討したところ、1)教室指導は活動量の維持効果を有し、2)自主的な活動では短期間の効果はあっても継続させるにはいたらず、逆戻りの傾向を示すことがわかった。また、行動変容のステージに注目し、プログラム前と終了1年後の変化を検討したところ、プログラム参加前からウォーキングの習慣を有している者(維持期)については終了後もそのまま「維持期」であったが、プログラム前に「準備期」や「関心期」にあった者の大半(74%)は、プログラム実施時にはウォーキングを実践したものの、終了1年経過後には元の状態に戻っていた。
平成14年度には、過去に実施した無作為抽出調査の各々の回答者を対象として追跡調査を実施し、A)「スポーツクラブの存在あるいはそのクラブ活動は身体活動を高める役割を担うが、身体活動がクラブ入会の強い原因になるものではない」という関係性、ならびに、B)運動の行動変容段階は身体機能、全体的健康感、活力、社会機能の各サブスケールと関連し、その段階(ステージ)のポジティブな移行によって、全体的健康感ならびに活力が向上し、定期的な運動習慣を獲得した者では、身体機能ならびに精神的健康の向上が見られる、という知見を得た。
以上のことから、活動的ライフスタイルの獲得者については健康関連QOLは良好であるものの、関心期あるいは準備期にいるものにとっては、単なる「ウォーキング教室」などのイベント的な介入効果は限定的であり、総合型地域スポーツクラブのように運動・スポーツを継続させるための社会環境整備も重要である可能性が示唆された。
【研究代表者】