各種運動強度における酸化ストレスの影響
【研究分野】体育学
【研究キーワード】
運動 / TBARS / 尿酸 / 過酸化脂質 / 肥満 / ラット / クロロゲン酸 / SOD / 運動負荷
【研究成果の概要】
運動により生体に過酸化が起こり悪影響を及ぼす。このような過酸化脂質の発生に対してビタミンC、Eや尿酸などが抗酸化剤としての効果を示す。そこで尿酸と過酸化脂質との関連を見るため、第1の研究は、高校生の肥満群と対照群に対し、短時間(8〜12分)で疲労困憊にいたらせる運動を自転車エルゴメータによって与え、運動前後の血清中の過酸化脂質と尿酸値について測定した。その結果、TBARS(TBA反応物質)値は運動後両群とも有意に増加した。しかし、TBARS値は両群間に有意な差が認められなかった。また、総酸素摂取量あたりでも肥満群はTBARSの産生量において高い傾向が見られた。抗酸化として働く尿酸は肥満群において安静時すでに高値を示した。運動後の尿酸値は両群とも増加が認められなかった。このことから尿酸は抗酸化剤としての効果がこの研究では得られなかった。第2の実験として持久運動を行っている(自転車競技)高校生を対象として同様の実験を試みた。その結果、運動群、対象群とも運動後のTBARS値は有意に増加した。しかし、尿酸値は運動後に両群とも増加が認められずについては明らかではなかった。第3の実験はラットを用い、運動による臓器内の脂質の過酸化がクロロゲン酸により抑えられるかどうかについて比較検討した。実験はクロロゲン酸を腹腔内(体重100gあたり30mmol)に投与し、傾斜15%、23m/分のスピードで30分間の走運動を与え、運動直後のTBARS値およびSODを測定した。その結果、TBARS値は筋、心、肺、肝においてコントロールと運動群との間に有意な差がなかった。一方、クロロゲン酸を投与した群においては有意に低い値が認められた。このことからクロロゲン酸の抗酸化作用が示唆された。また、臓器内のSODはそれぞれの群間に有意な差は認められなかった。
【研究代表者】