血液中におけるコレステロール及びその類縁化合物の生理病理的意義の究明に関する研究
【研究分野】化学系薬学
【研究キーワード】
酸素化ステロール / GC-MS / 微量分析 / 血液成分 / 血小板 / プラスミノーゲン活性化因子 / 植物ステロール / 赤血球 / 血液
【研究成果の概要】
本研究は酸素化コレステロール誘導体を含む各種コレステロール類縁化合物の血漿中、血管内壁、赤血球、血小板などにおける生理・病理的意義を明らかにしようとするものであり、以下に示す研究成果を得た。
1.血管内皮細胞(ウシ頸動脈より得た)で合成され血液中に放出されるプラスミノーゲン活性化因子(この酵素の欠損は血栓形成を促す)について、この産生を促進する物質を探索し、シトステロールおよびフコステロールが著しい作用を示す事を見いだした。
2.酸素化ステロール類の血小板の凝集への影響を調べた。即ち、ウシ血小板浮遊血漿を用いる実験で、トロンビン凝集では、20-,22-,24-,または25-ヒドロキシコレステロールが凝集を促進するのに対し、ADP凝集で(22R)-ヒドロキシコレステロールに特異的な凝集促進作用があった。(22R)-ヒドロキシコレステロールが特異的にウシ血小板および赤血球に対して、膜の破壊を引き起こすことを見いだした。また、この溶血作用には温度依存性が有ることが分かった。
3.細胞膜中でのコレステロールとリン脂質の相互作用の解明に向けて、各種光親和性標識ステロイドを合成し、モデル系での光反応を検討した。
4.中国産Bombyx cum Botryte(彊蚕)の酸素化ステロールを分析した。5.コレステロール生合成を制御する目的で、合成した各種ヒドロキシステロールのラット肝でのジヒドロラノステロールからコレステロールへの生合成の阻害作用を調べ、顕著な作用を示すステロールを見いだした。
6.アンジオテンシン変換酵素抑制作用のある新規トリテルペン5種を霊芝Ganoderma lucidumから単離・構造決定した。
7.高血圧・動脈硬化患者の血清中のステロールの分析を行った。
【研究代表者】