骨格筋代謝における性の意義と個体の代謝システムの性差の解明
【研究キーワード】
性差 / 骨格筋 / 内分泌 / 多臓器連関 / 代謝異常 / 糖尿病 / 脂質異常症 / 加齢 / サルコペニア / 肥満 / グルココルチコイド受容体 / EPA / 代謝 / 臓器連関
【研究成果の概要】
個体レベルのエネルギー代謝や体組成は多くの要素・調節系の複雑な連関によって制御され、かかる制御は性や栄養状態など個体条件と密接に関連しながら、エネルギー代謝異常の病態にも関わると考えられるが、その詳細は不明である。本研究では、骨格筋代謝における性の意義と個体の代謝システムの性差の解明を目指し、種々の代謝変容モデル・遺伝子改変動物を用いて、解析を進めている。
前年度までに骨格筋のグルココルチコイド受容体(GR)シグナルに性差があることを見出しており、かかる知見に立脚しながら、本年度はとくに雌雄の肥満モデルマウスにおける検討をおこなった。すなわち、骨格筋特異的GR遺伝子破壊マウス(GRmKO)とコントロールマウスとを用いて、肥満病態における骨格筋GRシグナルの意義の性差を、全身の代謝への影響とともに明らかにすることを目指した。
コルチコステロン慢性投与あるいはob/obマウスでの肥満の経過における、臓器重量、耐糖能、血液生化学(インスリン、コルチコステロンなど内分泌学的評価を含む)の変化などを時系列データとして採取し、諸臓器のマルチオミクスデータと合わせて解析した。肥満が誘導されると、骨格筋GRの下流シグナルが変容し、かかる変容は骨格筋代謝のみならず遠隔臓器の代謝にも影響すること、そのネットワーク変容の様式には性差があることを見出した。骨格筋グルココルチコイドシグナルを起点とする全身の内分泌環境変化の性差は糖尿病や脂肪肝、筋萎縮とも関わることを見出しており、その詳細の解析を進めている。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)