高度成長期のマスメディアとサークルの「記録」との相互関係についての研究
【研究キーワード】
詩集 / 写真集 / 映画化 / 綴方 / 作文 / マスメディア / サークル / 記録 / アダプテーション / 映画 / 文学 / ルポルタージュ / ドキュメンタリー
【研究成果の概要】
高度成長期のマスメディアと、アマチュアが担ったサークル運動における「記録」との相互依存的な関係を検証し、今日的な意義を探るのが、本研究の目的である。高度成長期においては、テレビ、ラジオ、映画、新聞、商業出版などのマスメディアのコンテンツが、純文学の作家たちによって供給されただけでなく、しばしばアマチュアによって担われていた。工場労働者、学生、主婦など、幅広い層によって支えられたサークル運動においては、生活記録や生活綴方、さらにルポルタージュ絵画、幻灯や記録映画などの「記録」が大きな意味を持っていたが、それらは単にサークル内や周辺の人々によって享受されただけでなく、マスメディアを通じて広く発信される回路が形成されていった。国内外のアーカイブ、図書館、文学館、映像ライブラリーなどを博捜することによって、そうしたメディア発信の例、および元になったサークル側の「記録」を集め、マスメディアとサークルとの相互関係の意味について考察するのが本研究の目的である。
今年度に発表したのは、別項に記した通り、分担執筆3件、書評1件、口頭発表3件の業績である。このうち、「母の死とオリンピック――古田幸『おかあさんのばか』のメディア展開をめぐって」が、この研究課題にとって最も中心的な論文であり、母の死についての小学生の詩が反響を呼び、詩集、写真集、映画になった経緯を論じたものである。口頭発表「Authoritative Gentleness around Colonial Children's Compositions: On Ch’oi Ingyu’s Tuition (1940)」は植民地期の朝鮮総督府が募集した作文の入選作から映画化された映画「授業料」について論じたもので、今後の論文化を予定している。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2025-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)