福島原発事故で沈着した放射性セシウムの生活圏内再分布のモデル化と影響予測
【研究分野】地域環境工学・計画学
【研究キーワード】
放射性セシウム / 水食 / 森林 / WEPP / 溶存有機物 / コロイド促進輸送 / セシウム / 侵食予測 / セシウムボール / 侵食 / 懸濁態 / 有機物 / 数値モデル / 河川 / ため池 / 農地 / 粘土鉱物 / けん濁態 / 放射性Cs
【研究成果の概要】
対象とした流域から出る137Cs(以下RCs)の流出速度は小さく,かつ流出懸濁物質量と高い相関を持っていた.しかし,その関係は2015年夏の台風による大きな出水を境に変化した.対象流域を小さく絞り,実踏と数値計算によってRCs流出を検討した結果,土砂ならびにRCsの流出は,流水部分近傍の限定された部分を起源としていることが示唆された.
降雨毎に流出RCs量を精査すると,流出土砂の少ない時に採水試料が相対的に大きな放射能を示す事があった.そこで,採水試料からRCsを含む粒子を分画し,得られた粒子を電子顕微鏡等で観察・分析した結果,流出水中の懸濁物質の中にセシウムボールが含まれていたことがわかった.
【研究の社会的意義】
東日本大震災時の事故で環境中に大量の放射性物質が放出された.居住域や農地では一定の除染が行われたが,広大な面積を有する森林は手付かずである.森林に沈着した放射性物質の長期にわたる動態を予測することは,避難地域への帰還,被災地に関わる今後の様々な安全安心において重要である.
水食数値計算,河川観測,実踏によって,流出する放射性物質は,森林中限定された領域を起源とすること,有機物や細粒土砂によるCs移動の促進が重要であること,さらに,森林域からセシウムボールの形で放射性物質が流出する事例があることが明らかになった.これらを踏まえて,今後,より精度の高いリスク評価が可能になると考えられる.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
溝口 勝 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 教授 | (Kakenデータベース) |
飯田 俊彰 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
大澤 和敏 | 宇都宮大学 | 農学部 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
登尾 浩助 | 明治大学 | 農学部 | 専任教授 | (Kakenデータベース) |
塩澤 昌 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 特任研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究協力者】 |
レンシュラー クリス | University at Buffalo, The State University of New York | Department of Geography, Collage of Arts and Sciences | 准教授 |
濱本 昌一郎 | |
山崎 琢平 | |
二瓶 直登 | |
吉田 修一郎 | |
小暮 敏博 | |
奥村 大河 | |
羽田野 聡 | |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2015-04-01 - 2018-03-31
【配分額】41,600千円 (直接経費: 32,000千円、間接経費: 9,600千円)