計測的手法による隆起山地の10^5年オーダーの開析過程の定量的研究
【研究分野】自然地理学
【研究キーワード】
隆起 / 侵食 / 山地 / 河成段丘面 / 火砕流堆積面 / 小起伏面 / 河川 / 開析
【研究成果の概要】
本研究の目的は、「地形計測的手法により、隆起山地の10^5年オーダーの地形変化の速さと様式とを評価すること」である。今年度は、火砕流の堆積面が広範に残存する飛騨高原と、河成段丘面の保存がよい関東山地北部を対象地域として、以下に述べる結果を得た。
飛騨高原においては、空中写真解読により、山頂小起伏面の分布図を作成した。表層地質調査により、山頂小起伏面を、(1)鮮新世末と中期更新世に噴出した2つの火砕流の堆積面、(2)第四紀火山に覆われた侵食面、(3) (2)と連続する侵食面、(4)その他の小起伏面に分類した。(1) (3)の小起伏面を基準とする接峰面は、小起伏面形成時の地表面を近似する。そこで、接峰面高度と現在の地表面高度との差を一部地域で算出した。この値は小起伏面形成後の平均侵食深を代表する。この作業が全対象地域で完了後、成果を公表予定である。
関東山地においては、利根川の2支流(碓氷川と鏑川)を対象として、河川の10^<4〜5>年間の平均下刻速度と河床縦断面形の変化とを検討しつつある。碓氷川では、河成段丘面の編年(Sugai, 1993)をもとに、河成段丘の年代と高さを利用して以下の結論を得た。1)碓氷川の下刻速度は、10^5年スケールでは最近の60万年間10^<-1>mm/年で一定であるが、10^4年スケールでは気候変動と呼応して周期的に変動し、間氷期の気候条件下では10^0mm/年に達し、氷期には概ね0となる。2)河川縦断方向の下刻速度の違いは、河川掃流力の違いとよく対応する。他方、鏑川においては、河成段丘面の編年調査を今年度に開始・完了した。
【研究代表者】
【研究種目】奨励研究(A)
【研究期間】1995
【配分額】1,000千円 (直接経費: 1,000千円)