粉体力学の視点にもとづく大規模火砕流の流走プロセス解明と災害評価
【研究分野】自然災害科学・防災学
【研究キーワード】
火砕流 / 噴火 / 粉体 / 摩擦 / 火山 / 火山噴火 / 堆積 / 粒子 / 堆積物
【研究成果の概要】
大規模火砕流の挙動を表現するための二次元数値モデルの改良を行った。流走過程におけるマニング型摩擦則と減速・停止過程におけるクーロン型摩擦則の役割および導入の効果について明らかにした。火砕流堆積物の温度、層厚、ガス量等の条件に依存した、堆積物の冷却・溶結モデルを改良し、火砕流の溶結構造の形成過程と、噴火推移の時間スケール推定に応用した。代表的な大規模火砕流および中小規模火砕流について、観察記録や堆積物をもとにそれらの発生、流走、堆積過程や物理量を明らかにし、噴火推移を復元した。これらの火砕流現象の解明をもとに、噴火プロセス全体の理解を進展させ、災害現象とその評価手法について考察した。
【研究の社会的意義】
数値モデル改良は、シミュレーションによる火砕流分布域の推定精度向上や、ハザード評価に貢献するものである。近年の噴火事例をもとに解明した中小規模火砕流の噴出量・噴出率と流走距離との関係は、数値モデル検証のためにも活用できる。鬼界カルデラの大規模噴火については、火砕流発生のタイミング、発生様式などが明らかになった。堆積物の溶結・冷却モデルと堆積物解析にもとづき、プリニー式噴煙柱崩壊後、大規模火砕流の発生に至るまで、日または週のオーダーのギャップがあった可能性を示した。この結果は、大規模噴火の推移の理解を進めるとともに、災害の規模や時間スケールの評価にも活用できるものである。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2015-04-01 - 2019-03-31
【配分額】4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)