沖積低地の微地形成と地形環境動態に関する研究
【研究分野】地理学
【研究キーワード】
沖積低地 / 微地形 / 水害 / マングローブ / 完新世 / メコンデルタ / タイ南部 / 津波 / 堆積物 / カンボジア平原
【研究成果の概要】
本研究は沖積低地における地形環境の変化と微地形形成との関係を明らかにすることを目的とし,対象地域の微地形・堆積物の特性について詳細な検討を行った.また,低地の微地形と自然災害との関係をより具体的に解明するため,2004年12月26日に発生した津波災害との関係についても検討した.
海津は,濃尾平野や矢作川沖積低地においてボーリング調査を実施し,完新世後期における土砂堆積域の変遷について低地の地形・地質に関する検討を進めた.その結果,濃尾平野では土砂堆積域が順次変化することが明らかにされ,また,矢作川低地では低地の幅が比較的狭いにもか変わらず約2800年前を中心とする時期には埋没林が形成されるような土砂の堆積域が比較的固定化されていた時期が存在したこと,また,完新世後期以降土砂堆積が比較的顕著に発生した時期と相対的に安定した時期が存在していることが明らかになった.一方,海津・藤本は,現地研究者のNguyen氏,Ta氏とともにメコンデルタ北部地域においてボーリング調査を行うと共に、堆積物の14C年代試料を測定に供した.その結果,サイゴン川低地の完新世中期における海岸線の位置に関するデータが得られ,完新世後期の地形変化とマングローブ林の立地変動が明らかにされた.また,久保はメコンデルタ上流部において氾濫原地域の地形分類図作成と、表層地質調査、土地利用・水利用調査をおこない,プノンペン周辺の低地微地形と水害との関係を詳細に検討した.これらに加えて,海津・堀はタイ南部アンダマン海沿岸低地の微地形と津波堆積物の分布および津波流動についての検討をおこなうとともに,海津はインドネシア国スマトラ島北端部のバンダアチェ平野において平野の微地形と津波の流動に関する現地調査をすすめ,微地形の違いが津波の流動に大きく影響することを明らかにした.
【研究代表者】