アメリカ殖民地時代に関する基礎研究-多元文化社会の新歴史批評的分析
【研究分野】英語・英米文学
【研究キーワード】
アメリカ / マサチューセッツ湾植民地 / 多元文化社会 / 魔女裁判 / エスニシティ / キャプティヴィティ・ナラティブ / 新歴史 / 植民地 / 文学 / 宗教 / ピューリタニズム / ジョナサン・エドワード / キャプティヴィティ・ナラティヴ
【研究成果の概要】
現在のアメリカ合衆国の揺藍期にあたる、いわゆる植民地時代とはどのような時代であったのか。イギリスの恒久的な植民地としては1607年のジェイムズタウンがもっとも早いとされていて、ここの住民の苦労や、ジョン・ロルフの煙草改良による経済の発展、インディアンとの武力衝突や疫病による悲惨な歴史、あるいは、キャプテン・ジョン・スミスとポカホンタスの話などは我が国においても比較的よく知られている。ピルグリム・ファーザーズたちのプリマス植民地のことも、ボストンを中心としたマサチューセッツ湾植民地のこともよく知られている。中でもマサチューセッツ湾植民地については、ピューリタンによる神権政治とのからみで我が国でも理解が進んでいる。これを前提として研究を進めた。我が国ではアクセスできない資料をできるだけ集め、検討した結果、従来の歴史観には重大な欠陥があり、これの見直しが急務であることを確認した。魔女裁判関係では、被告の証言が裁判官に代表される支配層と、魔女と名指された人々の間に成立していた被支配層という関係によって歪められていたばかりでなく、裁かれる側の論利にも一貫性のある「物語」成立の工夫があったことが判明した。現代の作家の関心が、いわゆるキャノンと呼ばれる正統的歴史観の見直しに向けられており、歴史の読み直しが行われ、それが民族的、文化多元主義に基づくものであることを再確認した。新たな資料が発掘され、それに基づき、アメリカ小説の成立過程がかなりな程度解明された。
【研究代表者】