初期近代における世界の多様性の認識――日中欧の比較研究
【研究キーワード】
比較思想 / 多様性 / 初期近代 / 礼 / 東アジア / ヨーロッパ / モンテスキュー / 中国 / 日本 / 文化接触 / 思想史 / 寛容 / 礼教
【研究成果の概要】
本研究は日欧中の初期近代における他者認識・対外認識を分析し、世界の多様性についての共時的な関心の高まりを比較検討することを目的とする。本年度においても、川出(ヨーロッパ)、前田(日本)、伊東(中国)という専門領域において討究を展開した。新型コロナウィルスの感染拡大という不測の事態のため、3名で海外の国際学会で研究報告を行うという当初の予定が満たせなかったが、今年度は、川出と前田が英語での論考を図書として刊行するなど、国際的な研究成果の発信という課題は十二分に満たされたと言えよう。すなわち、川出は、モンテスキューの中国観をとりわけ「自由」の概念との関係で論じ、前田は、武士道と兵学の骨幹を分析した。伊東は900ページを超える大著『東アジアの王権と秩序―思想・宗教・儀礼を中心として』の編著者として、日本、中国、韓国等の比較研究を推進した。同書には、伊東(「伝統中国の国家・社会論のための一考察)と前田(「五人組帳の思想史的考察」)がそれぞれ重要な研究成果を掲載している。伊東は、さらに編者として『東アジアにおける哲学の生成と発展―間文化の視点から』も刊行した。さらに伊東は、本研究課題の中核的成果となるであろう「「礼教」の浸透・汎化とその展開―中国を中心とする近世東アジアの事例から」を刊行した。これは、中国の「礼」をヨーロッパのcivilityと比較するための枠組みとなる論考で、2020年度より継続して、研究代表者と分担者が本格的な比較を行ってきたテーマをいち早く刊行したものである。伊東もまた海外の中国研究誌に書評を寄稿するなど、海外発信に力を入れた。前田も川出も、それぞれの分野の個別研究も刊行した。また、川出は、史学会のシンポジウムで18世紀フランスのコスモポリタン思想について報告し、他の報告者との交流を深めた。その成果は、本研究課題への良きフィードバックをもたらすであろう。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
前田 勉 | 愛知教育大学 | 教育学部 | 特別教授 | (Kakenデータベース) |
伊東 貴之 | 国際日本文化研究センター | 研究部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2018-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)