トップダウン処理の感情生成とその制御に関する神経生理学的検討-基礎から応用へ―
【研究キーワード】
トップダウン処理の感情 / 自伝的想起 / エピソード記憶 / 感情誘導 / 生理変化 / 瞳孔 / 社会的感情 / 対人関係ストレス / 感情制御 / 認知神経科学 / 心理学 / fMRI / NIRS
【研究成果の概要】
初年度はトップダウン処理の感情誘導(日常生活における対人関係ストレスの想起による感情誘導)に関する生理的変化(瞳孔径と体表温度)と主観的感情変化に関して中心に研究し、トップダウン処理の感情を誘導した際の瞳孔径変化と心理的変化についてまとめた論文がJournal of Psychophysiology とFrontier in Psychologyにそれぞれ受理された。2年目に当たる去年度は、感情誘導後にディストラクション(気晴らし方略)を用いて感情を制御した際の生理的変化を瞳孔計測によって検討した。定速や不定速の指タッピングによるディストラクション課題と対照条件となるレストを比較し、どの条件が最も不快感情を減衰させるか検討した。その結果、定速の指タッピングが、不快な感情によって縮小した瞳孔径の拡大と、不快な感情や思考の減少と最も関連していた。感情制御の研究において、ディストラクションが不快な感情だけでなく不快な思考を減少することを初めて、明らかにするができた。申請者はこの研究成果を論文にまとめ、Journal of Psychophysiologyに投稿し受理された。またこの内容をWeb開催であった第85回日本心理学会でポスター発表した。
さらに、去年度は、トップダウン処理の感情に関する脳神経学的検討についても研究を進めた。トップダウン処理の感情誘導の脳活動は、fMRIを用いて検討済みであった。このデータ解析を進め、PLOS ONEに投稿した。現在レビュー結果を待っている段階である。
去年度の助成金は、主に上記の研究を遂行するための英文校閲の費用と、Frontier in Psychologyへの論文掲載料にあてられた。日本心理学会での学会発表費や感情心理学会などの学会会員費などでも使用した。後述する近赤外線分光法(NIRS)の実験を遂行するための実験環境の整備にもあてられた。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)