ファジー環境における最適化理論のための基礎数理
【研究分野】統計科学
【研究キーワード】
ファジィ理論 / 最適化問題 / 数理モデルの解析 / 最適性方程式 / 意思決定論 / 最適化理論 / ファジィ順序 / 多段決定過程 / マルコフ決定過程 / ファジ-関係 / 単調推移 / 最適停止問題 / 効用関数 / 最適化基準
【研究成果の概要】
ファジィモデルの解析にはさまざまな様相により,多くの研究がなされてきているが,本研究では,ヘルマンの動的計画法の考えにもとづき,多段意志決定として定式化を行い,理論的な解析をおこなった。得られた結果としては,離散パラメータの無限計画問題として,動的ファジィ・システムを議論し,ファジィ利得の最適停止問題に応用した。ここに至る展開や経過に対して,日本数学会統計分科会の特別講演,「ある動的ファジィ・システムの最適化」吉田祐治,於東京工業大学,平成5年9月や企画特別講演「ファジィ・システムの数理」吉田祐治,於名城大学,平成10年3月で報告されている。これを総括したものが後で掲げた雑誌論文のひとつである。内容のうち項目をまとめると以下の通り:
・ファジィ決定過程のための基礎理論の構築を試みて,ファジィ数列の収束,ファジィ・マックス順序について考察をおこなった。この結果を利用して,いわゆる動的計画法の最適性方程式に対応する、再帰関係式を考え、その解の存在について議論をおこなった。
・応用問題として,動的システムにおけるファジィ停止時刻を考察した。通常の確率変数をファジィ化する必要があるが,この定義にアルファカットをもちいて構成した(ただしかなり不明碓な部分もあり,今後の研究が必要とされる)。議論展開に必要な仮定には,単調性の概念というよい性質を導入することで,スカラー化した利得関数における最適化問題として議論した。
概ね当初の目的を一応到達しているとは考えるが、ファジィ化した確率変数による停止時刻は、2値関数ではないから、そもそもの解釈から困難を極めている。今後の課題としたい。
【研究代表者】