在日ブラジル人子女の教育・進路選択の多様化と教育支援に関する比較社会学的研究
【研究分野】教育学
【研究キーワード】
在日ブラジル児童生徒 / 進路選択 / ニューカマー / 外国人子女教育 / 外国人集住地域 / 多文化共生 / 地域間比較 / フィールドワーク / 外国人児童生徒の教育 / 在日ブラジル人 / 外国人子女への教育支援 / 大泉町 / 太田市 / 浜松市 / 在日ブラジル人子女
【研究成果の概要】
本研究では、研究課題にアプローチするために、次の5つの課題を設定し調査研究を遂行した。すなわち、(1)ブラジル人子女の教育・進路選択の実態把握、(2)ブラジル人子女の教育・進路選択の決定プロセスの把握、(3)ブラジル人子女の教育・進路選択に影響する地域特性の分析、(4)ブラジル人子女の教育・進路選択の多様化と「日本の教育」「自己将来像」、(5)ブラジル人子女の教育・進路選択の多様化が学校教育と地域社会に与えた影響の分析、である。平成12昨年度は大泉町、平成13年度は太田市、平成14年度は浜松市を中心にフィールド調査によるデータ収集を実施した。また、平成13ならびに14年度には、11歳から16歳までの児童生徒ならびにその保護者を対象に質問紙調査を実施し、3地城の比較分析をすすめた。
在日ブラジル児童生徒の進路希望の分析結果からは、大泉町・太田市か浜松市か、どちらの地域の学校に通うのかという選択は、子どもたちの将来像と進路希望のあり方にほとんど影響を及ぼさないが、日本の小中学校に通うのかブラジル学校に通うのか、その2つの学校選択は、かなりの影響を及ぼすことがわかった。
ブラジル学校に通っている子どもは、基本的にブラジルの上級学校への進学を前提に進路ステップをイメージしていた。また、そのイメージは、保護者の将来の居住地のイメージとも合致し、ブラジルの大学・大学院に進学し、いずれは帰国するという将来展望をもっている限り、保護者からの合意も得やすい状況にあることがわかった。一方、日本の小中学校に通う子どもは、基本的に日本の上級学校への進学を前提とするか、進路への迷いをもちながら進路を断念していく可能性があることがわかった。進路の迷いと見えにくさを抱えている一方で、保護者が子どもに期待する最終学歴は高いという葛藤も抱える可能性が示唆された。さらに、そうした子どもたちは、帰国か定住かが保護者が定められない中で、日本での進学か、進学しないか、進路がわからないまま迷い続けるかという状況に追い込まれることがわかった。
【研究代表者】