河川環境の科学的探求によるグローバル・コンピテンス育成に関する実証的研究
【研究キーワード】
河川環境学習 / グローバルコンピテンス / 科学的探求 / 珪藻 / 水質問題 / 水生昆虫 / シミュレーション / 博物館標本 / グローバル・コンピテンス / 河川環境 / 科学的探究
【研究成果の概要】
日本、インド、米国の中等教育の生徒に対し授業を実施し、3国間での意見交換を含めてグローバルコンピテンスの育成状況を実証し、さらにドイツ、ブラジルから河川環境の資料を収集し、これらの国においても授業を実施する予定であったが、昨年同様、コロナパンデミックのため渡航ができず、細部にわたる授業の打ち合わせができないため、本年度も意見交換は断念した。また、国内の学校における授業も、協力校がコロナウィルス禍における通常授業のやりくりで手狭であり、長期にわたり授業実践が困難であった。令和4年に入り、ようやく国内の1学校にて、少人数(5名)のクラスで4回の授業を実施することができた。
従来の研究では、インドの生徒は授業後に河川環境改善に対し、具体的な行動プランを示せるが、日本の生徒の多くは具体性を欠くことがわかっていた。このため、本年度実施した授業では3つの改善策を追加的に導入した。
一つめは、過去100年にわたる多摩川の流域人口密度のデータを使用した河川水質のシミュレーションを、SimRiverを用いて生徒が行うことであった。これにより、実際の川の環境変化の具体的イメージの増強を図ると共に、処理技術の限界と、その打破のためのイノベーションの必要性を学ぶことで河川環境学習に対する動機付けの強化を図った。二つめは、インドの河川環境と人々の暮らしを伝える、最新のウェブニュース動画を見ることであった。これにより、環境悪化の背景をより深く学ぶことを図った。三つ目は、日本の河川環境を改善するために、国、地方自治体、市民、企業、NPOなどが実施したことを調べる学習である。
これらの学習を加えることにより、日本の生徒も環境改善に対し、具体的な行動プランを立案することができるようになった。
また、河川水質を理解するための補助教材であるMushiRiver(河川産底生無脊椎動物を4つの異なる水質から探索するゲーム)について解説論文を作成した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
大森 宏 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 助教 | (Kakenデータベース) |
加藤 和弘 | 放送大学 | 教養学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)