極限状態で高次認知機能を維持するための基幹脳活性法の開発と臨床応用
【研究分野】社会システム工学・安全システム
【研究キーワード】
認知制御 / 睡眠障害 / シフト勤務 / ストレス / 事象関連深部脳活動法 / 事象関連電位 / 血糖値 / 覚醒 / 交感神経亢進 / 心拍数 / 途中覚醒 / ノルアドレナリン / 炎症 / 鉄代謝 / 酸化ストレス / 免疫システム / サイトカイン / 免疫グロブリン / 睡眠 / 認知機能障害 / 深部脳活動 / 背側前部帯状回 / 脱賦活 / ネットワークダイナミクス / 外発性随意運動 / 反応抑制 / 血糖値スパイク / 事象関連深部脳活動 / 持続的注意機能 / フレミンガムリスクスコア / 連続血糖値モニタリング / 糖新生 / 認知神経科学 / 脳機能計測 / 栄養免疫学 / 人間環境科学 / 予防医学
【研究成果の概要】
認知課題遂行中の深部脳活動のダイナミクスを明らかにするため、我々は脳波による事象関連深部脳活動法及び事象関連電位法を採用しました。刺激競合課題遂行において、学習記憶を参照する反射的認知処理を初めて見出しました。さらに外部リズムへの同期課題では、単調な等間隔リズムに対しては眠気が誘発されるが、逸脱刺激への同期動作が覚醒と相関するサリエンスネットワークを起動し、認知機能の維持に貢献し得ることを見出しました。こうした認知処理の特徴は、深夜の低覚醒・低血糖状態で高次認知機能維持に資する可能性を示唆しました。
【研究の社会的意義】
従来、認知処理のプロセスを議論する上で課題遂行時の習熟効果は極力排除されてきました。しかし、本研究により、競合解消の必要のある課題において課題遂行時の学習記憶が正しい認知処理に重要であることが初めて示唆されました。この結果により、十分な学習を行うことにより、低覚醒・低血糖の極限状態でも高いエネルギー代謝の必要な高次認知機能を維持できる可能性が示唆されました。本研究の成果は、医療従事者のシフト勤務において重篤疾患リスクを高める高エネルギー代謝を回避しながら高次認知機能を維持する方法論の確立に資する点で学術的意義はもとより社会的意義は大きいと考えられます。
【研究代表者】