公共施設の統廃合において公平性の高いアクセスを実現する数理モデルの開発とその応用
【研究キーワード】
オペレーションズ・リサーチ / 都市計画 / 公共施設・サービス / 数理最適化 / 施設配置 / 公平性指標 / 施設の統廃合 / 施設配置問題 / 公共サービス
【研究成果の概要】
本研究課題では、将来の需要の変化を踏まえて、公共施設へのアクセシビリティという観点から、公平性を長期的に維持できる統廃合計画立案のための数理モデルを開発することである。これを実現するために、研究2年目である本年度は、昨年度までに行ってきた公共施設の統廃合に関する現状調査、施設配置に関する研究および公平性の指標に関する研究を継続・発展させつつ進めた。具体的には、まず、昨年度の調査から、学校や病院、買い物支援サービスに焦点化し、様々な地域の情報を収集し、比較・整理した。
また、それらの情報などを踏まえつつ、施設配置モデルの開発として、以下のような様々なアプローチを試みた。まず、長期にわたる施設の配置計画を考えるための基礎モデルとして、連続空間を対象として各施設の受け持ち需要の偏りを減らす施設配置及び閉鎖順序を求めるものや、離散空間を対象として多期間での施設の廃止と新設を求めるものを開発した。実際の地域のデータを用いた数値実験等を行い、モデルの効果を分析した。
このほか、施設へのアクセスのしやすさを検討するために、道路などのネットワーク上の移動者(通勤通学者など)がその途中で施設に立ち寄る行動において、移動者が確率的に施設を利用するときに、利用できる人を最大となるように施設を配置する問題などを取り扱った。
さらに、公共交通機関としての航空ネットワーク設計を考えるために、どのように路線を整備していくかについてを取り扱うモデルにおいて、既存研究と比較して旅客の流れを自然に表現したモデルを構築し、より現実的な状況を想定した拡張を行い、ベンチマークデータを用いた数値実験およびその結果の分析をすすめた。
また、公平性指標の分析として、議席配分問題を対象として、代表的な5つの配分方法を用いた場合にどのようになるかのシミュレーションを行い、その影響を分析した。
【研究代表者】