純粋持株会社への移行プロセスの理論的・実証的研究
【研究キーワード】
純粋持株会社 / 事業子会社 / 自律性 / 規律性 / 意図せざる結果 / グループ経営 / 経時的分析 / プロセス分析 / 組織コントロール / 組織アイデンティティ
【研究成果の概要】
純粋持株会社の事業子会社に求められる自律性(子会社内のコントロール)と規律性(グループ経営としてのコントロール)の関係を明らかにし、組織として持続的な価値創造ができる純粋持株会社のあり方を探求した。今年度の実績は以下の通りである。
一昨年までに明らかにされた仮説に関して,多様な純粋持株会社化現象をもたらす要因とそれらの関係性、純粋持株会社生起のプロセス、そしてその結果について総合的に研究を深めた。そしてとりわけ、純粋持株会社化に影響する要因の特定化とそれらの関係性の解明をさらに図った。その際に、研究蓄積を行ってきた純粋持株会社化現象の事例ベースの実態分析・業界分析を進め、3つにまとめた純粋持株会社に移行するパターン類型の妥当性を検討した。すなわち、上場子会社を100パーセント子会社化するパターン,新規事業の拡大を意図したM&Aによる子会社化のパターン、既存の事業子会社の再編成パターンである。そして、昨年度に限界が明らかになった自律性と規律性の2次元モデルの再定式化を進めたが、まだモデルとしての妥当性が十分でないことが判明した。
また,純粋持株会社形態を採用してもグループ経営としての権限・責任の明確化や迅速な意思決定の実施といった側面を生かせない意図せざる結果に関して、対応の仕方があり得ることが事の多面的分析を通じて確認された。
本年度は、純粋持株会社に移行するプロセスにおいて,操作概念としての「自律性」と「規律性」の関係性について、媒介変数ないし調整変数がが必要かを考察しながら、両概念を基軸に純粋持株会社化への生成プロセスを理論的・実証的に解明することを進めたが,意図せざる結果との関係性についてはデータ・情報不足のため論拠不明な状況で、これが残された課題となった。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2018-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)